[木内里美の是正勧告]

見えてきた情報システム部門が生きる道

2016年9月28日(水)木内 里美(オラン 代表取締役社長)

CIOとシステム部門に求められているのは、企業のシステムの根源と本質に立ち返ることだ。経営とITの関係など今更ながらの話だが、そのシステムによってビジネスや事業がどうなったかはあまり語られないし関心も高くない。今一度、「ビジネスをデザインすること」の意味と価値を考えてみよう。

 「システム部門が崩壊する」「解体を迫られるシステム部門」「崖っぷちに立つシステム部門」──そんなセンセーショナルなタイトルの記事は20年以上も前から書かれて続けてきた。企業のシステム部門のあり方やCIOの役割、社内のエンジニアの意欲や質の問題などを憂いて論議が繰り返される。悲観論と檄論(激論ではなく積極的な行動を求める檄の意)が交錯するが、当事者達はためらいがちに苦笑するだけで、大きな変革は何も起きていない。

 それは多くの企業の蓋然であって、一部には経営層の意識も高く立派な成果を上げている会社もあるのも事実だ。だからといって放置しているのは経営トップの責任だと指摘しても何も解決はしない。一方、情報通信技術は目覚ましく発展し、既存の仕組みを崩壊させるようなデジタル革命を予測させるほどになってきた。静と動、その乖離はますます激しくなっている。

 システム部門の問題は端的に言えば人材問題だと思う。企業における多くの課題が人材に帰結するものだが、システム部門の人材問題はやや複雑だ。本来はとても創造的な仕事であるのに、情報サービス産業が魅力的な産業になっていないのと同様に、企業内のシステム部門も魅力的な職場ではないのだ。魅力のない部署に優秀な人材は集まらない。かつてはプロフェッショナルだった社内のITエンジニアは高齢化し、高度な教育を受けたIT人材は一般企業を就職先に選ばない。内製を担う力のあるエンジニアが不足して人材構成も変化すれば、必然的にトランスフォーメーションしなければならなくなる。アウトソーシングである。

最後の砦は「ビジネスアーキテクチャ」と「デザイン」

 悲観していても始まらない。CIOとシステム部門が考えなければならないのは、企業のシステムの根源と本質に立ち返ることだと思う。企業の情報システムは何のために作られてきたのか? 時代や業態によって、その目的も出来上がるシステムも様々だ。人がやっていたことをコンピュータに代替させて仕事の効率と質を求めることもあるし、人為的には処理できない複雑なプロセスを作り込むこともある。

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