[ザ・プロジェクト]

コニカミノルタのデジタル変革戦略、30年後も生き残る会社に向けた経営者の決意

2016年10月25日(火)中村 仁美

コニカミノルタがデジタルトランスフォーメーション(変革)への取り組みを加速させている。2006年に、それまでの本業だったカメラ事業と写真フィルム事業から撤退し、複写機などの開発・販売に舵を切った同社は今、どんな事業計画を描いているのだろうが。同社の代表取締役社長である山名昌衛氏が、「デジタルトランスフォーメーション〜コニカミノルタの成長戦略〜」と題し、ワークスアプリケーションズが主催した「COMPANY Forum 2016」の基調講演で語った内容から紹介する。

生き残るための“ものづくり力”もデジタルで高める

 CPSは自社の生産革新にも適用する。「製造業は付加価値のあるソリューションサービス業へ変わろうとしているが、10年、20年と生き残るためには“ものづくり力”の強化が不可欠」(山名氏)と考えるからだ。そのため、コニカミノルタが取り組むデジタルマニュファクチャリングでは、「センサーをインターネットで接続し情報を見える化する“スマートファクトリー”ではなく、ものづくりのあり方全体を俯瞰できるデジタルの仕組みを作る」(同、写真2)。

写真2:コニカミノルタのデジタルマニュファクチャリングの概念写真2:コニカミノルタのデジタルマニュファクチャリングの概念
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 デジタルマニュファクチュアリングのモデル工場になるのが、2014年10月に量産を開始したマレーシア工場だ。加工や組み立て、検査などの工程にITを導入し、工程間でデータを連携させている。現地の様子は、本社の生産本部からもリアルタイムに把握でき「何か問題があれば本社から指示が出せる」(山名氏)仕組みになっている。

 マレーシア工場では、複合機やトナーボックス、電子写真プロセスユニットを生産している。中でも複合機は「単なるアッセンブリではなく、色々な“すり合わせ”が必要」(山名氏)だが、そこにもデジタル化を進めている。その一例が、走査レンズの位置調整。日本の生産工場で測定した数値をサーバーに送り、マレーシア工場では、そのデータを活用してレンズ位置をミクロン単位で自動調整する。結果、直接作業工数と作業習熟期間をそれぞれ25%削数できたという。

 同工場での実践内容は、「他の製造業の方にも参考になるはずとの考えから、デジタルマニュファクチュアリング(DMF)サービスの開発にも取り組んでいる」と山名氏は明かす。検査データやプロセスデータなどのIoTデータを解析することで、品質やプロセスの改善、稼働率向上を支援する。その一環として、メガネ型ディスプレイ「ウェアラブルコミュニケーター」の事業化を進めている。特殊光学系の独自技術により、重さが35グラムと軽量なことが特徴だ。

異能が集まる「Business Innovation Center」で共創を

 自社製品、自社工場の取り組みに加え、オープンイノベーション(共創)にもコニカミノルタは積極的に取り組んでいる。「Business Innovation Center(BIC)」の設置だ。「BICでイノベーションを起こし、新しい価値を顧客に提供するための組織」(山名氏)で、米シリコンバレー、シンガポール、英ロンドン、中国・上海、日本の5カ所に開設している(写真3)。

写真3:「BIC(Business Innovation Center)」で共創を仕掛ける写真3:「BIC(Business Innovation Center)」で共創を仕掛ける
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 BICは、既存の事業や意思決定プロセスと切り離すため、「社長直轄とし、執行役員は全員、ヘッドハントしてきた」と山名氏は説明する。つまり、これまでのコニカミノルタにはない「異能な人たちの集まり」(同)によるイノベーションに期待しているわけだ。そのため「コニカミノルタが保有している技術に縛られる必要もない」(山名氏)。現在、BIC発のテーマが、およそ100個あるとする。

 BICジャパンが提案する「ニオイ見える化標準プラットフォーム」が、その1つ。ニオイをデジタル化し、そのニオイから、その空間がどういう状況にあるかをスマートフォンなどに通知するための仕組みだ。山名氏は、「こうした発想は従来は出てこなかった。トップダウンではなく、みんなが知恵を絞ってくれる活動こそが、トランスフォーメーションにとって重要だ」と強調する。

 山名氏は、「IoTにおいて『日本は遅れている』と言われているが、そんなことはない。“おもてなし”に象徴される日本の強みをソリューションに付加できれば、世界で戦える。日本の産業は今後10年、20年と大きく発展できると確信している」として、コニカミノルタのデジタルトランスメーションをさらに推し進める考えを示した。

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