IoT(Internet of Things)は、様々な分野で活用が進んでいる。製造業であれば、製品や生産ラインの故障を前もって検知する予兆保全がポピュラーな使いかただ。コンシューマーに近い分野では、ウェアラブル端末などを使ったヘルスケアに絡んだIoT活用が目立つ。国内のあるトイレメーカーは、便器をIoT端末に見立てたヘルスケア関連のIoTサービスを構築しようとしている。製品はコンシューマーに近いものだが、IoTによる新サービス創出に挑む企業の取り組みのひとつとして参考になるはずだ。
正式発表前のため、社名は控えさせていただくが、スマートトイレで腸内環境改善に取り組んでいるのは、便器などのトイレ製品で国内トップの住宅設備機器メーカー。それをサポートしているのがNTTコミュニケーションズの子会社であるNTTPCコミュニケーションズだ。
NTTPCコミュニケーションズは、IoTへの取り組みを強化しており、テレマティクス、ウェアラブル、ビーコン、遠隔監視という4つの切り口でIoTに係る様々なサービスを用意、これをマイクロサービス的に組み合わせて提供している。すでに多くの企業とIoT構築に取り組んでいるが、ここに紹介するトイレメーカーは、中でももっとも尖った事例のひとつだという。
まず、トイレメーカーとNTTPCが考えたのが、トイレで収集できるバイタルデータ(生体情報)をNTTPCのネットワークを介してクラウド基盤に送り込み、分析するというものだ。目指すところは、「予兆保全」ならぬ「未病改善」だ。
「未病」とは、病気とは診断されないまでも身体が不調を訴えるような、健康とはいえない状態を指す概念。病気に向かっている状態であることも多く、これを未然に検知することで、病気に罹ることを防ぐこともできると考えられる。機械における予兆保全と似た考え方だ。
この未病、腸内環境と密接な関係があるという。腸内環境とは、腸内の細菌バランスのこと。腸内には、「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」がある。名前の通りで、善玉菌が勝っている状態が健康、悪玉菌が勝っている状態が病気と判断できるが、どちらに振れるかを左右するのが、善玉菌、悪玉菌よりはるかに数が多い日和見菌だ。
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