[ザ・プロジェクト]
12年がかりで追求したグローバルIT戦略が生むビジネス価値─日産自動車
2016年12月27日(火)佃 均(ITジャーナリスト)
日産自動車が2兆円もの負債を抱え経営危機に陥ったのは1998年。そのとき構築されたルノー=日産アライアンスが世界で販売した台数は、直近の2015年1~12月に853万台。まさに「V字」回復そのものだ。設計・製造・販売の現場が頑張ったのはいうまでもないが、その基盤はグローバルIT戦略が支えていた。コスト圧縮からビジネス価値の創出へ――日産はどのようにIT基盤を進化させてきたのか。日産はどのようにIT基盤を進化させてきたのか。
ITベンダーの”先進事例”に
2015年5月26日付:経済産業省と東京証券取引所が「攻めのIT経営銘柄」に選定――この記事を皮切りに、日産自動車のIT利活用に関するニュースが相次いでいる。主なタイトルを示すと以下の通りだ。
2015年―
・12月21日付:ヒューレット パッカード エンタープライズ、シーメンス、自動車業界初となるグローバル次世代設計基盤を構築
2016年―
・1月5日付:「Microsoft Azure」を車両のテレマティクスシステムに採用
・2月3日付: 日産自動車は社内クラウド基盤に積み上がるデータの保護にどう対処したか(日本IBM:TechTargetジャパン掲載記事)
・4月21日付:生産管理システムの保守・運用を効率化するツールとして、GTワン社のアプリケーション変更影響分析ツール「ChangeMiner」を導入
・5月18日付:グローバル人事システムにワークデイ社の「Workday HCM」を導入
・6月9日付:日産自動車、「攻めのIT経営銘柄」に選定(2年連続)
・10月5日付:オフィシャルサイト「羅針盤」のシステム基盤をクラウドに集約(NTT コミュニケーションズ)
・10月11日付:販売会社ポータルサイトをクラウドへ移行 SharePoint Online活用で、5万ユーザーが利用するデータやツールを統合(ソフトバンク・テクノロジー)
「戦略的なIT投資を行うようになって12年。その成果が出始めました。VITESSE(ヴィテッセ)の取り組みから、客観的にも先進的と見ていただける案件が次々に生まれてきたんです」グローバル情報システム本部の理事 本部長・能丸実氏は言う。ちなみに「VITESSE」はフランス語で「速さ/速度」のこと。
「日産のITがこんなに話題になるなんて、以前はとても考えられなかった」
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