[イベントレポート]
AWSの今の注力分野と、そこから考える日本企業のなすべきアクション
2017年1月25日(水)伊藤 秀樹(フリーランスライター)
世界で100万以上のユーザーを擁し世界のクラウド市場を牽引するAmazon Web Service(AWS)。たゆまぬ機能強化・拡張を重ねるAWSは、今やIaaSにとどまらず、「組織やビジネスのあり方を変えるもの」としてますます存在感を増している。そんなAWSのサービス群の最新動向をにらみつつ、データセンター/クラウドサービスの提供者と利用者は、クラウド利用の“新しい段階”にいかに備えていけばよいのか。「クラウド&データセンターコンファレンス2016-17」(主催:インプレス)のアフタヌーン基調講演で、クラウドエバンジェリストでクラウド利用促進機構(CUPA)運営委員の渥美俊英氏が説いた。
2016年は1年間で1000以上の機能拡張・改善
ITインフラの提供側と利用側双方にとっての課題を挙げ、今後を展望した「クラウド&データセンターコンファレンス2016-17」(オープニング基調講演/パネルディスカッション)。アフタヌーン基調講演のステージに立ったのは、クラウドエバンジェリストとして国内外で精力的に活動する渥美俊英氏(写真1)だ。
AWSの企業利用がグローバルで急速に拡大している。もはやオンプレミスの代替ではなく、クラウド、IaaS(Infrastructure as a Service)ならではの高い価値を提供するリーディング企業としての地位を強固なものにしている。
事実、AWSが行う各種サービスの機能拡張・改善のスピードは群を抜いている。渥美氏によると、2015年には722以上の機能拡張が行われたが、2016年は第3四半期時点ですでに700を超えており、年間トータルで1000以上の機能拡張・改善が表明されている(図1)。
現在、AWSでは75以上のサービス群が提供されているが、渥美氏によれば、新たに追加された機能の4分の1はセキュリティ、コンプライアンス、統制、監査に関するものだという。「しかも、その割合は年々拡大している」と渥美氏。
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図2はAWSのサービス群の全体図で、この中でとりわけ、統一的な管理、認証とロギング、監視、運用、配備の自動化、セキュリティ監査といったセキュリティやコンプライアンス関連機能群の強化が進んでいるという。「これらの機能群もすべてソフトウェアで実現され、統合化されたAPIを介して提供する。AWSはそういう世界を築きつつある」(渥美氏)
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