2017年3月の3本:NTT Comと日本マイクロソフトがクラウド事業で協業/KDDIとアクセンチュアがデータ分析の合弁会社を設立/GoogleとSAPがクラウド分野で戦略的提携
2017年4月6日(木)松岡 功(ジャーナリスト)
2017年3月のニュースから松岡功が選んだのは、「NTT Comと日本マイクロソフトがクラウド事業で協業」「KDDIとアクセンチュアがデータ分析の合弁会社を設立」「GoogleとSAPがクラウド分野で戦略的提携」の3本である。“見逃せない”理由と共に、それぞれのニュースのポイントをお伝えする。
NTT Comと日本マイクロソフトがクラウド事業で協業
NTTコミュニケーションズ(NTT Com)と日本マイクロソフトが2017年3月24日、企業向けハイブリッドクラウド基盤の共同開発・営業連携のために4月から協業を開始すると発表した。
協業の柱は、大手企業が国内外で一体的に利用できるハイブリッドクラウド基盤を提供するために、日本マイクロソフトが提供するクラウド「Microsoft Azure」とNTT Comが提供するクラウド「Enterprise Cloud」の両サービスを効果的に組み合わせていこうというもの。中堅・中小企業に向けても「Microsoft Office 365」による働き方改革ソリューションを両社が連携して展開していく構えである(図1、関連記事)。
拡大画像表示
[選択理由]
両社のクラウドサービスは、いずれもグローバルに展開している「メガクラウドサービス」と言われており、ハイブリッドクラウド基盤に対する需要の高まりを象徴する動きとみられるからだ。
Azureがパブリッククラウドであるのに対し、Enterprise Cloudはホステッドプライベートクラウドを中心に提供していることから、互いの強みを合わせてビジネス拡大を図ろうという狙いがあるようだ。ただ、パブリッククラウドとホステッドプライベートクラウドの組み合わせという意味では、Azureはすでに大手システムインテグレーターなどが展開するサービスと連携しているので目新しさはない。とはいえ、NTT Comがメガクラウドサービスベンダーである点と、さらに踏み込んだ協業内容に見て取れる点が印象深い。
なお今回の協業では、NTT Comにとっての契約相手は日本マイクロソフトであり米本社ではない。当面は日本国内での活動が中心とみられる。とすれば、次にもっと大きなグローバルレベルの協業の可能性があるのかもしれない。
KDDIとアクセンチュアがデータ分析の合弁会社を設立
KDDIとアクセンチュアは2017年3月14日、合弁会社「ARISE analytics(アライズアナリティクス)」を設立したと発表した。データアナリティクスを活用し、KDDIの事業におけるカスタマーエクスペリエンス(顧客体験価値)の向上とパートナービジネスの推進が目的である(写真1)。
- 2019年8月の3本:AWSで大規模障害/日本マイクロソフトが業種別事業展開/あいおいニッセイ同和損害保険がマルチクラウドを採用した事故対応サービス(2019/09/11)
- 2019年7月の3本:テレワーク・デイズが規模拡大/Google Cloudのアプリケーション開発基盤「Anthos」/総務省が最新の「情報通信白書」(2019/08/09)
- 2019年6月の3本:SalesforceがTableauを買収/日本IBMとワークデイがリセラー契約/日本マイクロソフトが新パートナー施策(2019/07/10)
- 2019年5月の3本:オラクルがDBのクラウド移行推進で東京DC開設/グーグルが大阪DC開設/IIJがマルチクラウド新サービス(2019/06/06)
- 2019年4月の3本:経産省・東証「攻めのIT経営銘柄2019」/NTT Comが担うNTTグループ再編後の役割/DellがVMware環境をAzure上で稼働(2019/05/07)