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[知っておいて損はない気になるキーワード解説]

「ブロックチェーン」の基本を理解してみる

知っておいて損はない気になるキーワード解説

2017年6月20日(火)清水 響子

マイクロサービス、RPA、デジタルツイン、AMP……。数え切れないほどの新しい思想やアーキテクチャ、技術等々に関するIT用語が、生まれては消え、またときに息を吹き返しています。メディア露出が増えれば何となくわかっているような気になって、でも実はモヤッとしていて、美味しそうな圏外なようなキーワードたちの数々を、「それってウチに影響あるんだっけ?」という視点で、分解していきたいと思います。今回取り上げるのは「ブロックチェーン」です。

【用語】ブロックチェーン 信頼の分散管理を可能に

 暗号技術を活用して参加者間で、情報やデータの信頼を相互に保証し合う、分散台帳システムといえます。大別すると、ビットコインに代表されるパブリックブロックチェーン、特定のメンバーに参加や閲覧が限定されたプライベートブロックチェーンがあります。それぞれのチェーン内であらかじめ合意したルールや価値基準に従い、データの取引履歴を数分ごとに共有し、相互に取引の正確性を証明(Proof)します。

(図 1)従来型の中央管理(左)とブロックチェーンにおける分散管理(右):従来は管理者の権威に対する信頼のもとに正確性の保証が成立していたが、ブロックチェーンでは平等な参加者同士が相互に正確性を保証し合う。
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 ブロックチェーンは、暗号通貨でありP2P決済システムであるビットコインの、中核をなす技術です。オーストラリア政府が最近公表した国際標準づくりのロードマップでは、ほぼ同義でDistributed Ledger Technologies(分散台帳技術)という表現を使っており、こちらの方が理解しやすいかもしれません。

 2016年4月に経済産業省が発表した「ブロックチェーン技術を利⽤したサービスに関する国内外動向調査」によると、国内市場規模は67兆円。 また世界経済フォーラムは2015年9月に「Technology Tipping Points and Societal Impact」というサーベイレポートで、2027年までに世界GDPの10%がブロックチェーン経由の取引になりうるとの調査結果を発表しています。

 通貨だけでなく、契約や所有権等の管理台帳として(スマートコントラクト)、IoTで交換されるデータの保証台帳として、診察や学習等の記録台帳としてなど、幅広い分野で応用が始まっています。最近は、千葉市、富士通、千葉銀行、千葉都市モノレールが協同で実施した地方創生スタンプラリーにブロックチェーンが採用されました(2017年3月発表)。市内商店街の協力店に置かれた千葉市ゆかりの人気キャラクターのスタンプをスマートフォンで集めるとプレゼントがもらえる仕組みで、公共分野における活用事例として話題になりました。

【イノベーション】第2のインターネット革命

 ブロックチェーンが「第2のインターネット革命」ともいわれる理由は、中央の管理者ではなく世界中の誰かがルールを作り、ルールに合意した誰もが作業や台帳管理への参加を通じた報酬獲得のチャンスを持ち、また誰もが直接誰とでも決済できる点にあります。インターネットはかつて電電公社という権威に保証されてきた個人間通信をメールやSNSへとシフトさせましたが、SNSもまた特定企業の権威に保証されています。そしてインターネットすら役割を変えることがなかったのは「金融機関を通じた決済」です。銀行やカード会社、Facebookといった「権威」に依存しないブロックチェーン上の分散型自動化組織(Decentralized Autonomous Organization)では、「金融機関を通じた決済」すら、個人間の直接取引へと変わるかもしれないのです。

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