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KDDI、既存のLTE設備を使ったIoT向け省電力通信サービスを2018年1月開始

2017年11月16日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)

KDDIは2017年11月16日、IoT向けに低消費電力と長距離伝送を実現した通信規格の1つで、既存のLTE設備を利用できる「LTE-M」に準拠したデータ通信サービス「KDDI IoT コネクト LPWA(LTE-M)」を発表した。2018年1月から提供する。乾電池だけで10年使えるため、マンホールなどのようにこれまで電源確保が困難な場所でもIoT通信ができるようになる。

図1●LPWA規格の1つとして、省電力と長距離通信という2つの特徴を持つ。LTE-Mは、LTE基地局を使って通信できる規格である(出所:KDDI)図1●LPWA規格の1つとして、省電力と長距離通信という2つの特徴を持つ。LTE-Mは、LTE基地局を使って通信できる規格である(出所:KDDI)
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 LTE-Mは、IoTが求める低消費電力と長距離伝送を実現する、いわゆるLPWA(Low Power Wide Area)と呼ばれるジャンルの無線通信規格の1つである。特徴は、既存のLTEで使用する周波数の一部を利用して通信することである。これにより、既設のLTE基地局をそのまま使って通信できる。長距離通信ができるので、電波が届いて通信可能な範囲は、LTEよりも広くなる。

 他のLPWA規格と同様に、省電力である。単三乾電池2本で10年持つ、としている。これにより、マンホールの蓋など、これまで電源の確保が難しかった用途でもIoT通信ができるようになる。ウォーターサーバーの水が減ったら配達する用途や、ごみ箱がごみで一杯になったら回収する用途などにも利用できる。

 価格(税別、以下同)は、表の通り。単価が最も安くなるパターンは、最下位プラン「LPWA10」(月間10KBまで)を500万1回線以上で使う場合となり、1回線あたり月額40円。単価が最も高くなるパターンは、最上位プラン「LPWA500」(月間500KBまで)を1万回線以下で使う場合となり、1回線あたり200円。

KDDI IoT コネクト LPWA(LTE-M)の料金プラン(1回線あたりの月額料金)
(契約回線数) 1~1万回線 1万1~20万回線 20万1~50万回線 50万1~100万回線 100万1~500万回線 500万1回線~ 超過データ通信料
LPWA10(月間10KBまで) 100円 90円 80円 70円 60円 40円 10円/KB
LPWA100(月間100KBまで) 150円 135円 120円 105円 90円 60円 1.5円/KB
LPWA500(月間500KBまで) 200円 180円 160円 140円 120円 80円 0.4円/KB

電波サーチ間隔増で待機電力を削減、複数回送信でエリア拡大

 LTE-Mが省電力を実現する技術は、大きく2つある。

図2●LTE-Mが待機電力を削減する方法は2つ。電波サーチの間隔を長くすることと、電波サーチを止めてしまうことである(出所:KDDI)図2●LTE-Mが待機電力を削減する方法は2つ。電波サーチの間隔を長くすることと、電波サーチを止めてしまうことである(出所:KDDI)
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 1つは、電波を探す間隔を長くする「eDRX」機能である。通常のLTEは、1.28秒間隔で休みなく基地局をサーチしている。これにより、通信したい時にすぐに通信できるようにしている。これに対してLTE-Mは、最大43分間隔にまで延ばせる。サーチ間隔が短いほど待機電力を消費し、間隔が長いほど待機電力を消費せずに済む。待機電力を削減する、もう1つの機能は、電波サーチを止める「PSM」機能である。最大で13日間サーチしない設定ができる。

 LTE-MがLTEよりも通信範囲が広い理由は、同じデータを複数回送信する仕組みにある。受信側では、データが壊れていても、複数回分のデータを使って組み立て直すことができる。LTE-Mでは、同じデータを最大で32回送信する。何回繰り返して送るかは、電波の強さによって動的に自動制御する。通信状態が良ければ少ない回数しか送らない。

 KDDIでは、実際の基地局を使って実証実験を実施済みである。福島県や沖縄県で実施している。例えば、通信可能エリアについては、LTEで圏外となるエリアでもLTE-Mでは通信できることを確認したほか、体育館の奥など通常のLTEでは電波が届きにくい場所でも使えることを確信した。

遠隔制御などの運用管理サービスも別途有料で提供

 LTE-Mのデータ通信サービスに合わせて、LTE-Mの運用管理サービス「KDDI IoT コネクト デバイス管理」も別途有料サービスとして提供する。

写真1:KDDIのビジネスIoT推進本部ビジネスIoT企画部で部長を務める原田圭悟氏。1円玉サイズのLTE-M通信モジュール「KYW01」を手に取って説明している写真1:KDDIのビジネスIoT推進本部ビジネスIoT企画部で部長を務める原田圭悟氏。1円玉サイズのLTE-M通信モジュール「KYW01」を手に取って説明している
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 KDDIのビジネスIoT推進本部ビジネスIoT企画部で部長を務める原田圭悟氏は、「現地に行ってられない。本社から集中管理したい。通信コストのほうが作業人件費よりも安いから、現地作業も避けたい。こうした需要に応える」と、運用管理サービスの主旨を説明する。

 基本サービスとして、電池残量や位置情報といったデバイスの状態を確認したり、指定した条件に合致した場合にメール通知したりする「デバイス状態管理」機能を利用できる。

図3:LTE-Mの運用管理サービス「KDDI IoT コネクト デバイス管理」も別途有料サービスとして提供する(出典:KDDI)図3:LTE-Mの運用管理サービス「KDDI IoT コネクト デバイス管理」も別途有料サービスとして提供する(出典:KDDI)
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 オプションで、電波を探す間隔をリモートで設定し直すなど、LTE-MやIoTデバイスをリモートで制御する「デバイス遠隔設定」機能と、IoT機器のファームウェアをリモートで更新する「ファームウェア更新(FOTA)」機能も用意した。

 価格は、月額基本料金が、1~1万台までで1台あたり50円、1万1~20万台までで1台あたり40円、20万1~50万台までで1台あたり30円、50万1台以上で1台あたり20円。オプションは、デバイス遠隔設定が1台1回あたり10円、ファームウェア更新が1台1回あたり50円。

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