NTT東日本は2018年1月25日、日本マイクロソフトと連携し、職場の労働力不足などの解決に向けてIoTやAI技術を活用する実証実験を開始すると発表した。作業従事者の状態や動きを可視化して、人材の有効活用や省力化などを実現する。2018年3月~2019年3月にかけて、PAL(大阪市)の協力の下、物流倉庫内において実験する。
NTT東日本は、日本マイクロソフトと連携し、職場の労働力不足などの解決に向けてIoTやAI技術を活用する実証実験を開始する。実証では、作業従事者に腕時計型のウェアラブルデバイスを使ってもらい、心拍数などのバイタルデータや位置情報を取得する。これをクラウド(Microsoft Azure)に蓄積して解析する。ウェアラブルデバイスは、顔認証による勤怠管理や、多国籍作業従事者への多言語による作業指示などにも利用する。
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取り組みの背景として同社は、労働力不足が社会的課題の1つとなっており、解決方法の1つとしてIoTやAI技術の活用が期待されていることを挙げる。「特に、物流倉庫業では、扱う荷物の増大や多様化、迅速な搬入出の要求、コストの低廉化によって、作業の省力化や生産性向上が課題となっている」(同社)。
実証実験の主な特徴は、以下の通り。
ウェアラブルデバイスを用いて、作業従事者の心拍数などのバイタルデータを取得する。これにより、作業従事者の体調不良などを検知できるようになる。問題を早期に発見して対処できる。
ウェアラブルデバイスとビーコンを活用して、作業従事者の位置を把握する。監督者が不在となる環境下においても、作業従事者が危険区域などに立ち入った際に警告して通知できる。
バイタルデータと位置情報を組み合わせると、冷凍庫内などの累積作業時間管理が必要な環境下において、適切な管理ができる。作業従事者の心拍数などのバイタルデータから危険の兆候を捉え、作業従事者・管理者に対してアラームを出せる。
ウェアラブルデバイスのカメラを用いて、顔認証による勤怠管理も行う。作業開始時にウェアラブルデバイスのカメラで撮影した写真と、事前に登録した写真を、日本マイクロソフトのAIサービスであるMicrosoft Cognitive Servicesを活用して比較し、作業従事者本人かどうかを照合する。
ウェアラブルデバイスを使って、多国籍作業従事者への作業指示も行う。AzureとMicrosoft Cognitive Servicesを活用して作業指示を多言語に翻訳することで、多国籍作業員とスムーズにコミュニケーションがとれるようになる。