多機能データバックアップソフトを提供するCommvault Systems Japanは2018年2月23日、説明会を開き、同社が2017年10月から提供しているバックアップ用途の分散ストレージソフト「Commvault HyperScale」の動向を説明した。最新の話題として、2018年春に、PCサーバー一体型のアプライアンスを製品化して提供する。
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「企業が持つデータの7割は、バックアップ/アーカイブ用ストレージなどの2次ストレージの上にある。2次ストレージは従来、用途ごとに独立してサイロ化していた。これを1つに統合できれば、2次ストレージ上にある7割のデータを、業務の意思決定に利用しやすくなる」(Commvault Systems Japan セールスエンジニアリングの伊吹山正郁氏)。
Commvault Systems Japanは、多機能バックアップソフトを提供しているベンダーである。企業向けのデータバックアップソフトに求められる基本機能群(管理サーバー、エージェント、メディアサーバーなど)を一通り備える。特徴は、各種バックアップやアーカイブなど多様なデータ保管用途をカバーすることと、バックアップデータを業務上の意思決定に活用する機能に注力していることである。
2017年10月には、バックアップデータの活用を推進するため、バックアップ先ストレージをスケールアウト型で拡張できるようにするソフトとして、Commvault HyperScaleを提供開始した。分散ストレージ機能(最小3ノード~最大24ノード)を持ち、最大2PB(ペタバイト)の単一のストレージプールを構成できる。
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HyperScaleは、バックアップソフトから見てメディアサーバー(ストレージサーバー上で動作し、バックアップソフトとの間でバックアップデータをやり取りするサーバー)として動作する。既存のメディアサーバーとメディアサーバー配下のストレージをHyperScaleで置き換えることができる。逆に言えば、HyperScaleは、バックアップ管理サーバーからしかアクセスできない。
バックアップソフトは、HyperScale(協調して動作する最大24台のメディアサーバーで構成する、単一のストレージプール)を、バックアップ先のメディアサーバーおよびストレージとして利用できる。これにより、バックアップの負荷などを、ノード間で分散できる。
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HyperScaleは、分散ストレージ機能を持つメディアサーバーソフトとOSを一体化したブート(起動)メディアとして提供している。これを、ローカルストレージを備えた汎用のPCサーバーで起動して使う。動作を保証するPCサーバーとして、Cisco UCSを使った構成「Cisco ScaleProtect」と、富士通、日本ヒューレットパッカード、Dell EMCの3社のサーバーを用いたリファレンスデザインを用意している。
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2018年春には、あらかじめPCサーバーにHyperScaleのソフトウェアを導入済みとしたアプライアンス製品も投入する。位置付けとしては、サーバーベンダー3社のリファレンスデザインは、いずれも高さ2Uのラックマウント型サーバーを使っており、大規模なストレージプールを作りたいユーザーを想定している。一方、新たに提供するアプライアンスは1Uラックマウント型であり、小さなストレージプールで構わないユーザーを想定している。