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レッドハット、Open Innovation Labsの国内提供を開始、既存プロジェクトも支援

2018年4月24日(火)河原 潤(IT Leaders編集部)

レッドハットは2018年4月24日、コンサルテーションやワークショップを通じて顧客のシステム開発を支援する「Red Hat Open Innovation Labs」サービスの国内提供を開始した。すでに英ロンドン、米ボストン、シンガポールの3拠点では専用ワークスペース施設でサービスを提供している。国内では特に場所を定めずに、顧客の環境に応じて提供する。

日本版は専用施設を持たず、自社オフィス内にラボを設置可能

 デジタルトランスフォーメーション(DX)のユーザー機運向上に伴い、ITベンダーやコンサルティングファームなどによる、イノベーションの創出を目的としたラボが脚光を浴びている。なかでも、デジタルビジネス対応で考え方やスタイルがガラリと変わるシステム/アプリケーション開発・運用分野のラボは、得られる実益が多そうに見えるし、実際、海外では多くの成功事例が紹介されている。

 今回、国内版の登場となったレッドハットの「Red Hat Open Innovation Labs」(図1)。レッドハットがコンセプトに掲げるのは「アイデアをイノベーションに変える、文化・プロセス・技術・実践の場」。同社が近年注力するDevOpsやアジャイルといった新時代の開発スタイルを、ユーザーが短期集中型で体験・会得し、自社ITプロジェクトの成果につなげてもらうことを支援する。

図1:Red Hat Open Innovation Labsのプログラム概要(出典:レッドハット)
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 日本版Open Innovation Labsのベースとなったのが、レッドハットが2016年8月に国内提供を始めた「DevOpsディスカバリーセッション/ワークショップ」サービスだ。コンテナベースのPaaS「Red Hat OpenShift Container Platform(※)」やサーバー構成管理ツールの「Red Hat Ansible」といった製品を通じて、デザイン思考、DevOps、アジャイルやリーン開発、自動化、既存システム/アプリケーションのモダナイゼーションなどを体験型で顧客に提供してきた経緯がある。
※編集部より:初出時に「Red Hat OpenShift Container Platform」の名称に誤りがありました。お詫びして訂正いたします(2018/4/26 19:00)

 冒頭でも触れたが、既設の3拠点(ロンドン、ボストン〈写真1〉、シンガポール)と違って、日本版Open Innovation Labsは物理的なラボ専用施設を持たない。顧客のオフィスやレッドハットのオフィス、場合によっては貸し会議室など、顧客の要望や目的に応じてワークスペースを設定し、専用のDevOpsクラウド基盤や整備されたリモートアクセス環境を活用することになる。標準的な利用期間は4~12週間で、コンサルテーションやプロトタイピングのワークショップを通じて、レッドハットのコンサルタントと顧客が一体となって取り組むプログラムが用意されるという。

写真1:本社のあるボストンのOpen Innovation Labs(出典:Red Hat Video「Red Hat Open Innovation Labs: Fostering innovation in Boston」https://www.youtube.com/watch?v=XpqQl2Mn4ak)
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Open Innovation Labsを「組織の文化を変える」起点に

 やはりラボは専用拠点で利用するのがよいのか、それとも自社内をはじめ顧客が環境を任意で選べるほうがよいのかは意見が分かれるところだ。Open Innovation Labsの最大の特徴でかつ競合のラボに対するアドバンテージになりそうなのが、新規プロジェクトだけでなく、既存のプロジェクトもプログラムの対象になっている点だ。

 「足かせのない新規プロジェクトよりも、むしろ既存のプロジェクトの強化や改善で悩む顧客が多い。運用コスト削減や生産性向上など、既存に対しても成果を実現できる」(レッドハット サービス事業統括本部長 執行役員の水橋久人氏)

 説明会では、Open Innovation Labsのベストプラクティスとして、オーストラリアの創業140年を超える老舗、ヘリテージ銀行(Heritage Bank)の事例が紹介された。同行は6週間のプログラムを通じて、ITインフラ担当、アプリケーション担当といったチームごとの作業進捗を全体俯瞰できるDevOps体制を構築。「プログラムの実施する前と後で、明らかにチームが変わり、文化が変わった」と同行の評価は高い。

写真2:レッドハット代表取締役社長の望月弘一氏

 デジタル時代に対応すべく「組織の文化を変える」ことは、レッドハットが日本の顧客に届けたい目標でもある。同社代表取締役社長の望月弘一氏(写真2)によれば、OSのRed Hat Enterprise Linuxや「JBoss」ミドルウェアなど歴史のある製品の売上げも堅調とのことだ。だが、現在のレッドハットは自他共に認めるクラウドベンダーであり、ハイブリッドクラウド基盤(「Red Hat OpenStack Platform」)、クラウドネイティブアプリケーション開発基盤(OpenShift)、ハイブリッドクラウド管理・自動化(Ansible)の3軸からなる「オープンハイブリッドクラウド」が看板となっている。

 「オープンハイブリッドクラウドの推進で、日本の顧客が旧来の文化を変えていくことを強力に支援していく」と望月氏。ユーザーに対し、DevOps、アジャイル、OpenStack、Kubernetesコンテナといった先端的なオープンソース技術を実体験でき、イノベーションの成果を生み出す場としてOpen Innovation Labsの利用を促していくとしている。

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Red Hat / OpenShift / DevOps / アジャイル / JBoss

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