アームは2018年8月22日、IoTデバイスのデータを収集して活用するために必要な機能群を一式まとめて提供するIoT基盤サービス「Arm Pelion IoT Platform」を発表、同日国内での提供を開始した。買収した米Treasure Dataのデータ解析サービスを活用する。
![写真1:英Arm IoTサービスグループデータビジネス担当バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーの芳川裕誠氏](/mwimgs/c/3/160/img_c38078c04146167c5b80e7d106a3f583200736.jpg)
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「データ解析の対象には顧客データとデバイスデータの2種類があるが、最近では、自動車の走行状況を考慮して保険料を決めるなど、これらを組み合わせて解析する事例が出てきた。データ解析サービスを提供する米Treasure DataがIoT基盤を持つ英Armとつながることで、提供できるサービスの可能性が広がる」---。
米Treasure Dataの最高経営責任者(CEO)で、現在は英ArmでIoTサービスグループデータビジネス担当バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーを務める芳川裕誠氏は、英Arm(日本法人はアーム)が提供するIoTデータ解析基盤「Arm Pelion IoT Platform」の価値を、こうアピールする。
アームは2018年8月22日、都内で説明会を開き、IoTデバイスのデータを収集して活用するために必要な機能群を一式まとめて提供するIoT基盤サービス「Arm Pelion IoT Platform」を発表、同日国内での提供を開始した。クラウドサービスとして提供するほか、必要に応じてオンプレミス環境にも提供する。
![図1:Arm Pelion IoT Platformの構成要素。IoTの接続性(コネクティビティ)、IoTデバイス、IoTデータ、の3つを包括的に管理できる(出典:アーム)](/mwimgs/2/c/500/img_2c716fb7c7b7002a699cc20a2fc181c1129188.jpg)
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Arm Pelion IoT Platformは、英Armが持つIoT基盤技術やIoTデバイス管理技術に加えて、買収した米Treasure Dataのデータ解析技術や、買収した英Stream Technologiesのコネクティビティ(デバイス接続)管理技術を活用している。これらの技術を組み合わせることで、(1)IoTの接続性(コネクティビティ)、(2)IoTデバイス、(3)IoTデータ、の3つを包括的に管理できるようにした。
![写真2:英Arm IoTサービスグループプレジデントのDipesh Patel氏](/mwimgs/7/7/150/img_77eacab498187c658706a23c304b21ca175931.jpg)
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(1)IoTの接続性を管理する機能によって、例えば、IoTデバイスを出荷先に合わせて設定しておく必要がなくなる。標準構成で出荷し、これを各拠点のローカル環境に配置するだけで使える。各種の接続手段(複数キャリアのモバイルデータ通信のローミング、無線LAN、Bluetoothなど)を利用できる。
(2)IoTデバイス管理では、IoTデバイスごとのライフサイクルを管理できる。ソフトウェアを配信して更新するといったデバイス管理ができる。
(3)IoTデータの管理機能によって、CRM(顧客関係管理)データとデバイスデータを組み合わせて新たな知見を生むといった使い方が生まれる。
データ解析で顧客1人1人に合わせたマーケティング施策が可能に
芳川氏は、「成功している企業は、個々の顧客のデータを徹底的にパーソナライズして解析している」と、データ解析の重要性を指摘する。「過去15年間で、全米のトップ500企業(Fortune 500)の約52%が入れ替わっている。デジタル化の波に乗れない会社は消えていく」(芳川氏)。
データ解析を徹底化することによって、属性を持つグループごとに施策を打つマスマーケティングではなく、顧客の1人1人の需要を解析して1人に向けた施策を打てるようになる。芳川氏は、レンタルビデオ大手の米Blockbusterと、動画配信の米Netflixの違いを例に、パーソナライズした施策の大切さを説いた。Netflixは視聴者が興味を持つコンテンツだけを勧めてくる。
最近では、顧客データにデバイスデータを組み合わせた事例も出てきているという。代表的なユースケースは、テレマティックス保険である。自動車からリアルタイムに上がってくる走行データを、保険契約者のデータと組み合わせることで、運転者1人1人にあった保険料を決める。
説明会では、米Treasure Dataの国内ユーザーとして、ジョンソン・エンド・ジョンソン、SUBARU、ソニーマーケティングの3社が登壇し、顧客データ解析の有効性を説明した。いずれも、顧客の行動データや属性データを統合して活用できるクラウド型のデータ分析サービス「TREASURE CDP」のユーザーである。
![写真3:写真左から、SUBARU IT戦略本部PGM(コネクトビジネス戦略)兼情報企画部部長の齊藤一隆氏、ソフトバンク 代表取締役社長執行役員兼CEOの宮内謙氏、英Arm IoTサービスグループプレジデントのDipesh Patel氏、英Arm IoTサービスグループデータビジネス担当バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーの芳川裕誠氏、ジョンソン・エンド・ジョンソン ビジョンケアカンパニーコマーシャル・オペレーションズ&ストラテジー本部User Experience & Unified Commerceディレクターの宮野淳子氏、ソニーマーケティング プロダクツビジネス本部カスタマーリレーション部統括部長の大内光治氏](/mwimgs/8/e/450/img_8e38851a076470f320eb4d2000f935b8169341.jpg)
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