2018年9月に設立された一般社団法人 官民データ活用共通プラットフォーム協議会(DPC)は、スマートシティなど官民での円滑なデータ流通を必要とするプロジェクト向けのエコシステムを構築するための組織だ。欧米諸国に比して出遅れた感のある日本のスマートシティ政策だが、これをもって巻き返しを図りたいところだ。

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官民データ活用共通プラットフォーム協議会(DPC)が取り組む官民データ活用プラットフォームは、欧州のFIWAREがモデルとなっている。GAFA(Google, Amazon, Facebook, Apple)という巨大プラットフォーマーが存在する米国では、スマートシティなどの大規模プロジェクトも民間主導で行われることが多い。一方、巨大プラットフォーマーが存在しない欧州では、2011年から官民連携で共通プラットフォーム構築が検討されてきた。それがFIWAREだ(図1)。ここでいうプラットフォームとは、スマートシティなどで活用されるIoTプラットフォーム、あるいはPaaSのような、クラウドプラットフォームのことである。
日本版FIWAREの開発へ
FIWAREは、OpenStackなど標準的に利用されているオープンソースソフトウェア/アーキテクチャを採用し、共通APIを備えた非営利型のIoTプラットフォームである。共通APIとして採用されている国際標準のNGSIは、日本のNECが主導で進めてきたNGN対応の共通API規格だ。FIWAREでは欧州以外の地域にも採用を呼びかけており、日本がエコシステム入りする選択肢もあったが、最終的にはFIWAREと相互連携可能な独自のプラットフォームを構築することにした。それを実装レベルまで推進していくための組織がDPCということになる。
共通プラットフォームが実装されると、どのようなメリットがあるのか。例えば、自治体が進めるスマートシティプロジェクトの場合、多数のベンダーがプロジェクトに参加してさまざまなアプリが開発される。その中には、ベンダー独自のツールやその自治体だけでしか使うことのできないアプリもあれば、共通して使えるアプリもある。アプリのプラットフォームがベンダー独自のものの場合、別のベンダーが参加したプロジェクトでは、同じ機能を持つアプリを一から作ることになる。
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