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ピュア・ストレージ、S3互換クラウドストレージへのバックアップ/リストアを高速化する「ObjectEngine」を発表
2019年3月14日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)
ピュア・ストレージ・ジャパンは2019年3月14日、オブジェクトストレージにデータをバックアップするためのゲートウェイ製品「ObjectEngine」を発表した。バックアップデータの保存コストを抑えつつ、高速にリストア(復元)できることに注力している。2019年前半に提供する。
ピュア・ストレージの「ObjectEngine」は、オブジェクトストレージにデータをバックアップするためのゲートウェイ製品である(写真1)。外部のデータバックアップソフトからは、ファイル/オブジェクトストレージに見える。ObjectEngineにデータをバックアップすると、背後でデータを重複排除した後、外部のオブジェクトストレージにデータを格納する。
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データを格納するオブジェクトストレージとして、クラウドストレージのAmazon S3か、Amazon S3互換のオブジェクトストレージ装置「Pure Storage FlashBlade」のいずれかを利用できる。ゲートウェイであるObjectEngineは、重複排除のための一時的なストレージを備えるが、データを永続的に保管するためのストレージは備えない。
ObjectEngineは、アプライアンス製品として提供する。ハードウェア部分には、米Pure Storageのフラッシュストレージ「FlashArray//X」のサーバーを流用している。ソフトウェア部分として、買収した米StorReduceの重複排除ストレージソフトウェア「StorReduce」の技術を使ったソフトをインストールしている。
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ObjectEngineを製品化した背景について同社は、バックアップデータのリストア(復元)の速度を上げて、保存済みのデータを活用できるようにする、という狙いを挙げている。
「従来は、ディスクtoディスクtoテープだった。多くのベンダーはバックアップ速度はうたうが、リストア速度はうたわない。テープに保存したら、それはもう使われない」(米Pure Storage戦略部門副社長のマット・キックスモーラー〈Matt Kixmoeller〉氏、写真2)。
ObjectEngineでは、短期保存はフラッシュに、長期保存はクラウド(Amazon S3)にバックアップできる。保存したデータをリストアする時間をテープよりも短くできるため、保存したデータを活用できるようになる。ObjectEngine//A270(4ノード構成)の場合、バックアップ速度は1時間当たり25TB、リストア速度は1時間当たり15TBをうたう。
バックアップストレージ「EMC DataDomain」との比較も示した(図1)。DataDomainのリストア時間は1日当たり1TBという。一方、ObjectEngineでは、Amazon S3上のバックアップデータなら1時間当たり1TB、Pure Storage FlashBlade上のデータなら1時間当たり8~19TBのデータをリストアできたという。
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フラッシュアレイの新OSで「MVNe over Fablic」をサポート
説明会ではまた、フラッシュストレージ「FlashArray//X」のOSソフトウェアの新版「Purity 5.2」の新機能として、サーバーからEthernetを介してNVMeプロトコルでストレージにアクセスする「MVNe over Fablic」機能を追加したと発表した。MVNe over Fablicを利用可能なサーバー機などと組み合わせて利用できる。
MVNe over Fablicにより、サーバーは、あたかもDAS(直接接続ストレージ)であるかのように高速にストレージにアクセスできるようになる。DASはアプリケーションごとに独立したストレージを用意するため無駄があるが、MVNe over Fablicならストレージ装置を共有して無駄を省きながらDASのように高速にアクセスできる。