NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は2019年4月9日、IoT向けのモバイル通信サービス「IoT Connect Mobile」を発表した。同年4月15日から提供する。設定内容を遠隔管理できるeSIMを実用化する。価格(税別)は、容量に応じた従量制で、1Mバイトあたり月額1円から。初期費用は別途必要となる。
NTTコミュニケーションズ(NTT Com)のIoT Connect Mobileは、日本のMVNOとして初めてeSIM(SIMの情報を書き換えることが可能な組み込み型の次世代SIMのこと)による遠隔からのプロファイル書き換え技術を商用化したサービスである。日本を含むグローバル環境でIoT機器を利用する際に、常に最適なスペックや料金で利用することが可能になる(図1)。
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近年、IoT機器を日本国外へ出荷し、海外での利用や提供を行うケースも増えてきた。その一方で、従来のサービスでは、利用する通信キャリアを出荷先の国ごとに事前に決めておかなければならなかったり、適用する国際ローミング料金が高額化したりなど、モバイル通信サービスに関する課題があった。
IoT Connect Mobileは、複数のモバイルキャリアと接続することによって、日本を含む世界196カ国/地域におけるモバイル通信の利用を可能にするIoT向けのサービスである。eSIMの技術を用い、SIMの通信プロファイルの設定内容を遠隔から管理できる。
運用中のIoT機器のプロファイルを、より低廉な価格のモバイルキャリアに切り替えられる。法制度上ローミングが規制されている国では、現地モバイルキャリアを利用できる。SIMを組み込んだIoT機器を工場から出荷する際に、あらかじめ利用する国に合わせた設定を行う必要がなくなる。
NTT Comのグループ会社であるTransatelが有するアジア・北米・欧州の3つのゲートウェイを活用し、利用者から最も近い設備を経由することで、遅延を抑えた高品質な通信を提供する。
SIMは、取り外し可能な「Plug-in」タイプと、振動耐性・衝撃耐性に優れた組み込み用の「Chip」タイプの2種類から選択できる。両タイプともに温度耐性や書き込み耐性を強化した「インダストリアルグレード」を選択することもできる。
Webポータルを利用すれば、ダッシュボードから契約しているSIMすべての利用状況などを視覚的に把握できる。SIMの追加発注や、回線単位で利用の休止・再開などもできる。ユーザー自身による詳細なカスタマイズが可能で、SIMごとの通信容量や速度などを直感的なインターフェースで簡単に設定することができる。これらの機能はAPIでも提供するため、ユーザーが利用しているほかのシステムとの連携も可能だ。
用途に応じて、SIM上にJavaアプレットを実装することもできる。これにより、様々な機能の拡張が可能だ。例えばセキュリティ品質を重視する利用ケースでは、SIMカードの高い耐タンパ性を生かし、アプレット領域に暗号鍵を格納することで通信データのセキュリティレベルを高めたり、IoT機器の改竄検知機能を付加したりすることができる。