[新製品・サービス]
インフォア、セルフサービスBIと全社アナリティクスを提供する「Infor Birst」を国内リリース
2019年4月24日(水)五味 明子(ITジャーナリスト/IT Leaders編集委員)
米インフォア(Infor)の日本法人インフォアジャパンは2019年4月12日、クラウドネイティブなBIプラットフォーム「Birst」の国内提供を開始した。単体の製品としてだけではなく、クラウドERP「Infor CloudSuite」のオプションとしても提供される。同社としてはBurstの投入で、国内ビジネス/ポートフォリオのクラウドシフトをさらに推し進めたい意図もある。
インフォアジャパンは現在、国内市場でのクラウドビジネスの比率を「3年間で40%まで高める」(同社 副社長執行役員 営業本部長 三浦信哉氏/写真1)ことを目標にしている。今回、クラウドネイティブなBI/アナリティクスプラットフォームの「Birst」(図1)を投入することで、その戦略をより強化していく方針だ。
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セルフサービスBIと全社アナリティクスを提供する「ネットワークBI」
Birstはマルチテナントのクラウドアーキテクチャ(AWS)上に構築されるBIプラットフォームだが、対象のデータソースはパブリッククラウドに限らず、プライベートクラウドやオンプレミスにも対応する。
最大の特徴は組織ごと、あるいはデータソースごとに分析準備を整えたデータをクラウド上で共有する「ネットワークBI」だ。この機能により、部門単位のセルフサービスBIと、全社横断のエンドツーエンドなアナリティクスの両方を実現することが可能になる(図2)。
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生データではなく、部門ごとに適切に管理された準備済みのデータを共有することで、データの重複管理やKPIの一貫性保持が可能になり、データ分析の正確性を担保しやすくなる。
例えば、「利益(profit)」という用語を、部門Aは「収益(revenue)-コスト(cost)」と定義しているが、部門Bでは「収益-コスト-値引き(discounts)」という意味で用いており、さらに部門Cでは「収益-コスト-運用益(return)」を利益としている会社があるとする。この場合、もし、各部門の用語ルールを統一せずに「利益」に関連するデータを集約し分析を実施すれば、当然ながら分析結果の正確性を担保することは難しくなる。
Birstでは、セマンティックレイヤ(Semantic Layer)モデルでこの問題の解決を図っている。同モデルを使って、あらかじめ全データソース/全組織にわたって分析に必要なデータの属性、グルーピング、メジャー、セキュリティレベルなどを管理し、アナリティクスの正確性やガバナンスを担保するという仕組みだ。
前述の「利益」の例で言えば、例えば、「収益-コスト-ディスカウント"を全社共通の「利益」としてルール化した場合、各部門の「利益」データはすべてそのルールに従って自動で整形された後にクラウドに集約される。さらに、複数のデータソースからメタデータを解析し、分析に必要なデータモデルを自動で作成する「オートリファイン」機能により、担当者はETL(Extract/Transform/Load)など特別なツールを入手したり、IT部門にデータフィードの提供を依頼したりする必要はない。
また、インテリジェントなクエリエンジンやマルチティア型キャッシュ構造、カラムナ(Columnar:列指向)データベースとインメモリデータベースの併用など、パフォーマンスやスケーラビリティに関しても「エンタープライズの利用に耐えうるレベル」(インフォアジャパン ソリューションコンサルティング本部 本部長 石田雅久氏/写真2)のBIプラットフォームに仕上がっているという。
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