オールフラッシュ型ストレージを提供するピュア・ストレージ・ジャパンは2019年7月10日、ストレージ機器のログを学習して得た知見によってストレージ機器の性能や容量を予測できる運用管理サービス「Pure1」について説明した。将来の性能負荷や空き容量が分かるので、サイジング(容量設計)が容易になるほか、アップグレードの計画を立てやすくなる。
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米ピュア・ストレージ(Pure Storage)は、ドライブ構成をすべてSSDとしたオールフラッシュ型ストレージを開発しているベンダーである(関連記事:ピュア・ストレージ、AWSで動く既存製品互換のブロックストレージやS3バックアップなど提供)。現在、主力製品として、SAN接続型のブロックストレージアレイ「Pure Storage FlashArray//m」などを提供している。
運用管理サービスの一環として、ユーザー企業が設置したストレージ機器の性能データや稼働ログなどのメタデータを収集し、これによって得られた知見をクラウドサービス「Pure1」として提供している。
Pure1では、マシンラーニング(機械学習)を活用した学習によって、ユーザーが使っている個々のストレージの性能と容量を予測できるようにしている。サポートサービスを契約しているユーザーであれば、無料で利用できる。
メタデータを学習して将来の性能と容量を予測
米Pure Storageは、2011年からストレージ機器を提供している。この当時から、ストレージのログや性能値などをメタデータとしてクラウドで収集していた。2015年に、性能や容量を予測できるWebアプリケーション画面をクラウド型で提供開始し、現在のPure1の原型となった。2016年にはスマートフォンからクラウドにアクセスできるモバイルアプリケーションもリリースした。
Pure1を提供している背景について、米Pure StorageのバイスプレジデントでPure1事業部門ゼネラルマネージャーを務めるダン・デキャスパー(Dan Decasper)氏(写真1)は、「人力でパフォーマンスを予測することはほぼ不可能」と説明する。本来必要でない過剰な性能や容量を購入するオーバープロビジョニングによって無駄なコストを払うことになるか、アンダープロビジョニングによって性能や容量が足りなくなるからである。
Pure1のWeb画面では、個々のストレージの性能と容量の変化を予測できる。横軸が容量、縦軸が性能(CPU負荷)のグラフに、個々のストレージ機器をマッピングして表示する。6カ月後にCPU負荷がどれだけ増えているのか、容量をどれだけ消費するのか、といった情報を示してくれる。
6カ月後に新しいストレージ機器にアップグレードした場合、アップグレードしない場合と比べてCPU負荷がどれだけ下がるのか、容量消費率がどれだけ下がるのか、といった情報も分かる。2台のストレージ間でワークロードを移動した場合に、それぞれのストレージの性能と容量がどうなるか、なども分かる(写真2)。
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VMware仮想サーバーを含めて性能問題を可視化
Pure1では、ストレージ機器のデータのほかに、VMware環境の仮想サーバーの性能も監視して可視化・分析できる。これにより、アプリケーションの性能が悪い時に、ストレージに原因があるのか、仮想サーバー側に原因があるのかなどが分かる。
Web API(REST API)も公開している。自前のアプリケーションや運用管理ソフトなどからPure1の機能を利用できる。REST APIを簡単に利用するための各言語向けのライブラリ(PythonやJavaなど)も用意している。
クラウドではなくローカルで動作する運用管理ソフトを、オープンソースとして公開している。ただし、画面はPure1に似ているが、現状では予測機能は使えない。「ユーザーの9割はメタデータを送ってくれるが、1割はメタデータを提供していない。彼らのためにローカルで動作するソフトを提供する」(デキャスパー氏)。