NTTデータは2019年8月19日、説明会を開き、同社が開発しているVR(仮想現実)会議システムをデモンストレーションした。社内での試用では、利用者から「一般的なWeb会議よりも良いが、顧客との打ち合わせにはまだ使えない」といったフィードバックを得た。2020年度に社内で本格導入し、その後に顧客向けにも提供する。
NTTデータは、研究開発の1分野として、VR(仮想現実)を活用した会議システムを開発している。「VRによって、会議など、テレワークでは遂行が難しかった業務もテレワークで実施できるようになる」と、NTTデータの山田達司氏(写真1)は説明する。
拡大画像表示
NTTデータは、同社社員へのヒアリングから、テレワークでも遂行しやすい業務(メールチェック、資料の作成、技術調査)と、テレワークでは遂行が難しい業務(会議、取引先との打ち合わせ、紙ベースの仕事)が判明していることを明らかにし、これが製品開発の背景になっているという。
開発したVR会議システムは、機器としてVRゴーグルを使う(写真2)。会議の参加者それぞれがVRゴーグルを装着する。社内の会議室や自席、自宅や外出先などからオンライン上の仮想的な会議スペースに入出する。
拡大画像表示
従来の遠隔会議システムに不足している臨場感などを、VR技術によって改善する。これにより、対面以上のコミュニケーションの実現を目指す。
まずは、社内において、2020年度から利用する。その後、顧客向けのシステム構築案件においても、CRMシステムなどのオプションとしてVR会議システムを提供する。
音声を認識してリアルタイムにテキスト化、資料も共有
特徴を3つ挙げている。1つ目は、参加者を模したリアルなアバター(CGキャラクタ)として会議に参加できることである。頭の向きや手の動きを反映し、発言によって表情が変化する。音声は、発話者がいる方向から聞こえる。特定の参加者とだけ会話をする機能も持つ。
2つ目は、音声を認識してリアルタイムにテキスト化し、ふきだしで表示できることである。翻訳機能も持っており、外国語を話すメンバーともコミュニケーションがとれる(画面1)。
拡大画像表示
3つ目は、ファイルサーバー上にある資料やWeb上のコンテンツを音声で検索し、内容を確かめたうえで会議中で共有できること。資料内の小さい文字や細かい図表などをズーム表示機能によって詳細に確認することもできる。
音声を使って会議のメモを記録する機能もある。メモをとっている間は、発話音声は他のメンバーには聞こえない。会議の内容(メンバーの発言内容など)を、チャット画面風のWebコンテンツとしてリアルタイムに中継する機能も備える。これにより、会議に参加していないメンバーも会議の様子を把握できる。
●Next:VR会議システムの実用化に向けた課題は?
会員登録(無料)が必要です
- 1
- 2
- 次へ >