[調査・レポート]

2019年の世界の5Gサービス契約数は850万契約─矢野経済研究所

2019年9月10日(火)IT Leaders編集部

矢野経済研究所は2019年9月9日、5G(第5世代移動体通信システム)の世界市場を調査し、5Gの概要、各国における商用サービスの普及予測、5Gスマートフォンの出荷状況など、5Gの将来展望を発表した。2025年までの世界の5Gサービス契約数を主要国別に予測している。2019年に商用サービスが始まった5Gは、初年度は限定的な展開ながら、2020年以降は世界各国で商用サービスが始まる予定だ。

 5Gは、2018年に5Gの商用化に向けた仕様「リリース16」が策定となり、2019年4月に韓国・米国が世界初の5G商用サービスを開始したのを皮切りに、EU市場の一部などで商用サービスが始まっている。世界最大の携帯電話市場である中国でも5G商用サービスの準備が進んでおり、2019年秋季には商用サービスを開始する。2019年の世界の5Gサービス契約数は、850万契約になる見込みである(図1)。

図1:5G(第5世代移動体通信システム)主要国別サービス契約数予測(出典:矢野経済研究所)図1:5G(第5世代移動体通信システム)主要国別サービス契約数予測(出典:矢野経済研究所)
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 日本では、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの4社に5G免許を交付しており、2020年春を目途に5G商用サービスが始まる予定である。

 2018年の中国における携帯電話サービス契約数は15億7500万契約に達しており、新規契約数は鈍化傾向にある。中国は4G普及にあたって、インフラ整備に加えて通信事業者間の競争を促す施策を導入することで市場活性化を図り成長を促してきた。さらに、中国国内の携帯電話・スマートフォン端末メーカーの育成を図った結果、国際的に製品開発力・コスト競争力に秀でた端末メーカーが多数生まれた。結果的に中国は世界有数のIT産業を有する市場となった。

 5Gの導入にあたっても、4Gの成功を踏襲する方針で、政府主導で様々な取り組みを行なっている。既存3社の通信事業者に加え新規参入1社を加えた4社に5G免許を交付する方針である。また、インフラ整備についても、主要都市への設置はすでに完了していると言われている。政府主導で積極的な投資と支援を行なっているため、5G商用サービス開始後の契約数は垂直的に立ち上がり、2021年の中国における5Gサービス契約数は1億契約になる。その後も、中国のサービス契約数は爆発的に増加し、世界市場を牽引していく。

 5Gは、2019年4月から韓国・米国で商用サービスを開始しており、2021年からは順次世界各国の通信事業者による5Gサービスが始まり、普及が進む見通し。4Gで早期に普及が進んだ米国や中国では、5Gも早期に普及する可能性が高い。特に中国では5G対応の基地局がすでに40万局設置されていると言われており、2019年9月には4社の通信事業者および端末ベンダーに商用ライセンスを発給すり見通し

 中国のインフラベンダーは、実績のみならず5G関連の技術的な面で、すでに欧米のメーカーを上回っている。一方で、2018年末に米国と中国による貿易摩擦の一環で、中国メーカー製の通信機器導入を排除する動きが広まっている。世界各国の市場で中国メーカー製の通信機器を排除した場合は、インフラ構築スケジュールに遅延が出る可能性が高いと矢野経済研究所は見ている。

 また、通信規格別にサービス契約数を見ると、現在では4Gが主流となっており、2022年まで契約数の増加が続く見込みである。翌年から4Gは減少に転じ、それ以降は5Gサービスへの移行が進む。矢野経済研究所は、2025年の世界の5Gサービス契約数は41億3400万契約になると予測している。

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