NECファシリティーズは2020年1月16日、ルネサスセミコンダクタマニュファクチュアリングの西条工場と川尻工場において、AI/IoTの有効性を検証する実証実験を開始した。生産工場におけるデータ収集の効率化と故障予兆検出精度の向上などが狙い。
実験では、設備故障時に生産への影響が大きいにも関わらず、設備メーカーが管理していないポンプやファンなどの設備を選定し、IoTセンサーを用いて異常を検知する(図1)。
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これまで手作業で測っていたポンプやファンの振動・温度データを、IoTセンサーを使ってリモートから継続的に取得する。従来は1カ月から数カ月に1回の周期でデータを測定していたが、これを1時間に1回へと短縮し、異常検知までの時間を短縮する。
加えて、新たに実験用のポンプを設置し、疑似的に故障させてデータを収集する。収集したデータを学習することで、故障を判定できるAIモデルを作成する。
実験ではさらに、人による異常検知のきっかけである異音の検出をデジタル化する。多数のインフラ設備を設置してある機械室に騒音測定器を置き、音響によって異常を検知する。これにより、早期に異常を検出する。
これらにより、保全作業におけるデータの収集と分析に要する時間を、従来の人手で実施していた場合と比べて約20%低減できる。また、施設の運用管理ノウハウとIoTによる異常検知を組み合わせることで、より適切なタイミングで適切な対策を実施し、設備の突発的な停止を防止できるとしている。
2020年度下期には、実証実験の結果を受けた商用システムをリリースする。本システムの導入により、1拠点あたり数千のセンサーから自動でデータを収集できるようになる。