恐竜の進化と絶滅から考えるイノベーションの本質
2020年5月8日(金)CIO賢人倶楽部
「CIO賢人倶楽部」は、企業における情報システム/IT部門の役割となすべき課題解決に向けて、CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)同士の意見交換や知見共有を促し支援するユーザーコミュニティである。IT Leadersはその趣旨に賛同し、オブザーバーとして参加している。本連載では、同倶楽部で発信しているメンバーのリレーコラムを転載してお届けしている。今回は、全日本空輸(ANA)デジタル変革室 イノベーション推進部 部長 野村泰一氏のオピニオンである。
恐竜は2億5000万年前に出現したと言われています。二足歩行をしたり、海を泳いだり、空を飛んだりと、他の生物にはなかなか見られないさまざまな進化を遂げましたが、6500万年前に滅んでしまいました。子供の頃に読んだ図鑑には「恐竜が絶滅したのは“巨大隕石が落ちてきたから”とか“気候が急激に変わったから”など諸説ある」と書いてありました。生き残った哺乳類とは対照的に、繁栄を極めた恐竜が環境変化についていけずに滅んだということが描かれていたように記憶しています。
では急激な環境変化があったとして、恐竜は哺乳類と比べて何が不利だったのでしょう。大きな体には豊富な食料が欠かせません。もし、食料不足が起きたなら影響を受けたことでしょう。また、大きな卵は別の動物の栄養源となりやすく、津波などの天変地異が起きた際にも影響を受けてしまいます。そして、気候変動が起きて、寒冷化が進んだ場合に体毛を持たないものは影響を受けたことでしょう。繁栄の前提が大きく変わったときに、どうすればよいのかということを恐竜の絶滅を想うと考えてしまいます。
でも、よーく考えてみて下さい。環境に応じてさまざまな種類に進化した恐竜なのに環境変化についていけずに滅びてしまったのは、何か矛盾を感じませんか? 確かに大型の草食竜や肉食竜は消えたかもしれません。しかし最近、体毛はないが羽毛のあった恐竜が発見されています。また、呼吸機能については恐竜のほうが哺乳類よりもすぐれていたようです。

もしかすると私たちは、恐竜の見た目にとらわれ過ぎているのかもしれません。恐竜の価値が目に見えないところにあって、それが引き継がれていれば、恐竜はまだ生きていることになるという考え方もありではないでしょうか。実際、すべての鳥は恐竜の子孫であるという説は有力です。恐竜が進化の過程で手に入れた多くの特性を鳥が持っているからです。環境変化の後、恐竜たちが適正と感じた形態が鳥だという考え方をすれば、「恐竜は絶滅した」のではなく、鳥という“環境適応の道”を選んだことになります。
目に見えない価値に着目すると物事の本質は違って見えてくることを、恐竜の話から感じることができます。イノベーションが価値をつないでいくことで新たな流れを創ることであるならば、価値をしっかりと認識し、大事にしている会社が生き残っていくと考えられます。企業の本質を裏切らないようなイノベーションを継続していくことが、とても大切です。それは古代の恐竜でも現在の企業であっても同じでしょう。
「ANAって昔、航空会社だったんだって」
「えっ、そうなの!? 知らなかったわ……」
こんな会話が交わされる時代が来ると面白いですね。

全日本空輸
デジタル変革室 イノベーション推進部 部長
野村泰一氏
※CIO賢人倶楽部が2020年5月1日に掲載した内容を転載しています。
●筆者プロフィール
CIO賢人倶楽部(CIOけんじんくらぶ)
http://cio-kenjin.club/
大手企業のCIOが多数参加するコミュニティ。企業におけるIT部門の役割やIT投資の考え方、CEOをはじめとするステークホルダーとのコミュニケーションのあり方、デジタルトランスフォーメーションに向けたこれからの情報システム戦略、IT人材の育成、ベンダーリレーション等々、さまざまな課題について本音ベースでディスカッションしている。
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