デジタル技術の普及やコロナ禍の影響で、オフィス環境はどう変わっていくのか―NECは2020年7月13日、ニューノーマル時代のオフィス環境を認証技術などで実現するシステム実証を、東京・三田の本社ビル内で開始、メディア向けにその一部を公開した。
NECは、自社グループ社員を対象に東京・三田の本社ビルで24個のシステム実証を開始した(図1)。基盤の技術となっているのが、「NEC I:Delight(アイディライト)」という、生体認証による共通のDigital IDだ。
NECの顔認証技術は、米国国立標準技術研究所(NIST)が実施した顔認証技術のベンチマークテストで第1位の性能評価を獲得するなど世界的に高い評価を得ている。Digital IDでは、事前に登録した画像データと照合、深層学習に本人と似ている他人との違いを強調する工夫を取り入れることでマスクを装着していても高精度で認証できる顔認証技術が取り入れられている(関連記事:NEC、顔認証をオフィスで活用するための製品群をパッケージ化)。
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受付がある正面玄関入口に設けられたNEC Digital IDゲートエントランス(写真1)は、マスクを着用したままで、入場ゲートや警備員によるセキュリティチェックで立ち止まることなく本人確認が行えるゲートレスの入退システム。体表面温度を検出するサーマルカメラで通行者の体温確認を自動測定して感染症対策も行う。
社員のプライバシーを守るため、認証時に氏名や社員番号などを表示せず、個々に割り振られた幾何学模様を表示する幾何学アバターを採用している(写真2)。認証が正しく行われているかどうかの確認は、本人しかわからない仕組みになっている。
社内の売店(写真3)には、店内のカメラや映像認識技術を組み合わせて、レジを通さず手に取った商品を自動で決済するレジレス型店舗システムを導入した(関連記事:顔認証とセルフPOSを活用した無人店舗の実証実験、ジョイフルサンアルファなどが開始)。パターン認証と顔認証の2要素によりPOS端末と連携、給料からの天引き、クレジットカード決済の2つの決済方法に対応している。
顔認証技術はそのほか、自動販売機や顔認証自動ドア、複合機、共有PCの利用、鍵を持たずに荷物の一時預けが可能なロッカー(写真4)などに使用されている。
NECでは、今回の実証実験の結果を踏まえ、2020年度内にこれらのシステムをユーザー企業向けに提供開始する考えだ。