[市場動向]

「RPAは局所的な業務自動化ツールではない」─UiPathが訴えるRPAの本質的価値とは?

2020年7月16日(木)五味 明子(ITジャーナリスト/IT Leaders編集委員)

「人手がかかるところをソフトウェアロボットがこなしてくれる」。この2年ほどブームのような様相だったRPA(Robotic Process Automation)について、こんな認識がなされていることが多い。あながち間違いではないが、その程度のレベルの技術・製品ではないと訴えるのが、この市場のリーディングベンダーの1社である米UiPathだ。2020年5月27日に発表された同社の最新のRPA製品ポートフォリオから、UiPathが訴えるRPAの本質的な役割・価値とは何かを確認してみたい。

 「UiPathは日本のユーザーから、RPAプロジェクトで重要なのはロボットを作ることではなく、ロボットを使いこなす人材を育て、その人材を活躍させる組織を作ることだと学んだ」(UiPath日本法人の代表取締役CEO、長谷川康一氏、写真1

写真1:UiPath 代表取締役 CEO 長谷川康一氏

 RPAに関しては、この数年で日本企業の採用がかなり進んだ。長谷川氏の言にある、スキル・ノウハウを有する人材育成も含めた継続的な取り組みも始まっている。

 UiPathには、この分野・市場の牽引者としての自負があるだろう。同社はコーポレートビジョンとして"A Robot for Every Person"を掲げており、それを実現する「ハイパーオートメーション製品」をクラウドで提供していくことに注力していくとしている。同社が最近行われたアップデートでは、「エンドツーエンドな自動化ソリューションのカバーエリアをさらに広げていく」(長谷川氏)ための機能拡張が図られている。

ハイパーオートメーションが意味するところ

 この「ハイパーオートメーション」という言葉を、UiPathはどんな意味で使っているのか。同社の説明によれば、AI/マシンラーニング(機械学習)や自動化ツールを組み合わせ、エンドツーエンドで自動化する業務領域を拡大していくコンセプトを指す。

 先に日本企業での採用が進んだと書いたが、「RPA=ソフトウェアロボットがルールベースのPC作業を代理で行う」という狭義のRPAのイメージが定着してしまったため、現在でも局所的/対症療法的なデジタル化にとどまっているRPA事例が多い。

 UiPathは、こうした狭義のRPAではなく、既存のシステムも生かしながらRPA×AIを基軸に自動化を進め、従来の業務のリプレースにとどまらない、企業の可能性を最大限に引き出す「実効的な次世代の業務」を作り出すことを目指している。具体的にはハイパーオートメーションを「発見」「開発」「管理」「実効」「協働」「測定」という6つのフェーズに分類し、これに沿ったRPA製品を提供している(図1)。

図1:UiPathではRPAを局所的な自動化にとどまらせないため、「発見、開発、管理、実効、協働、測定」の6フェーズに分け、それぞれを連携させながら業務全体の自動化を図るハイパーオートメーションを提唱している。同社の全製品がこのコンセプトに沿って提供される(出典:UiPath)
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 新たにリリースされた製品の概要は以下のようになっている。

■UiPath Process Mining
 自動化に最適な業務プロセスを可視化するための「発見(プロセスディスカバリー)」フェーズを担うプロセスマイニングツール。2019年10月に買収したProcessGoldの技術を統合したプラットフォーム。RPAとAIの組み合わせを最大限に活用した分析を基に、業務プロセスの最適化/改善を実現する。クラウドだけでなくオンプレミスにも展開可能で、サードパーティーのシステムやフォーマット、プロトコルも数多くサポートする。英語以外の言語でローカライズされるのは今回が初めてとなる(図2)。

図2:UiPath Process Miningがサポートするシステム/アプリケーション(出典:UiPath)
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■UiPath Automation Hub
 RPAの開発者とビジネスユーザーをつなぐコラボレーションツール。UiPath Process Miningの発見フェーズを支援する。ユーザーから寄せられた業務自動化アイデアを全社的に一括して集約し、案件の選定および優先順位付けを行うほか、プロセス手順書などの業務自動化ドキュメントの管理、再利用可能なRPA開発コンポーネントの管理・共有、コミュニティ機能、自動化の効果を可視化するパフォーマンスダッシュボードなどを提供し、全社的なRPAプロジェクト推進体制の構築を支援する。SaaSとして提供されるので、導入が容易でどこからでもオンライン接続による利用が可能。こちらも英語以外でのローカライズは初となる(画面1)。

画面1:Automation Hubの管理画面。エンドユーザーも含めた全従業員の自動化のアイデアを集約し、優先順位を付けて効率的な業務自動化を図っていく(出典:UiPath)
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■UiPath StudioX
 ビジネスユーザーによるロボット作成を支援する開発ツール。RPA開発者向けロボット作成ツールの「UiPath Studio」との緊密な互換性を持つ。現場の業務に携わるビジネスユーザーがロボットを作成することで、開発者だけが自動化を行う場合よりも多くの業務を自動化することが可能になる。初学者の利用を想定して設計されたシンプルで直感的なGUIや、オブジェクト認識を容易にする「UI Automation Next」機能、テンプレートやeラーニングコースなども用意される(画面2)。

画面2:StudioXは現場業務をよく知るビジネスユーザーが自身でロボットを作成できる開発ツール。開発の知識がなくてもロボット作成にスムーズに取り組めるよう、GUIと日本語対応でサポートする(出典:UiPath)
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■UiPath Orchestrator SaaS版
 ライセンスの権限管理やロボットの稼働状況、エラー発生状況などをダッシュボードで一元管理できるUiPath Orchestrator」のSaaS版。管理フェーズを担うツールで、2020年5月27日から国内でもサービスが開始されたクラウドRPAプラットフォーム「UiPath Automation Cloud」の管理機能として提供される。クラウドのメリットを生かし、サインアップ後にすぐに利用可能な、接続端末数に応じたライセンス形態となる。日常のメンテナンスも、スケーリングに伴うメンテナンスも不要で、常に最新の自動化基盤を利用することが可能。また国内データセンター(Microsoft Azure)を利用しており、Auth0を使った多段階認証も提供するほか、第三者機関によるセキュリティ認証も取得済みである(画面3)。

画面3:Automation Cloudの最初のサービスとして提供が始まったOrchestrator SaaS版は、オンプレミス版の機能をそのまま利用でき、規模に合わせた迅速な導入が可能(出典:UiPath)
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●Next:「RPAは局所的解決にとどまらない取り組みだ!」

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