[インタビュー]

「Teradata Vantageは、最重要ワークロードになったアナリティクスの最適解」

テラデータが推進するクラウドファースト戦略、その真意を聞く

2020年7月31日(金)五味 明子(ITジャーナリスト/IT Leaders編集委員)

米テラデータ(Teradata)が主力のアナリティクスプラットフォーム「Teradata Vantage」について、クラウドサポートの大幅な強化を図っている。単なるアップデートというよりも、テラデータ自身のクラウドファースト戦略がそのまま製品に反映されたかたちだ。国内ユーザーへの提供体制が整ったタイミングで、日本テラデータのキーパーソンに真意を聞いてみた。

 Teradata Vantageのクラウド機能強化/拡張に関する一連の発表は、2020年6月23日に米国で先行して行われた。強化のポイントは大きく次の3点である。

●ディザスタリカバリサービス「Teradata Disaster Recovery as a Service(DRaaS)」をAWS(Amazon Web Services)およびMicrosoft Azureでも提供

●AWSおよびMicrosoft Azureで提供するTeradata Vantageのマネージドサービス「Vantege on AWS」「Vantage on Azure」のパフォーマンスや可用性、セキュリティなどを強化。後日、Google Cloud Platform(GCP)でも適用予定

●カスタマーデータプラットフォーム(CDP)のマネージドサービス「Vantege Customer Experience」を提供開始

 いずれもグローバルで発表済みの内容だが、日本デラデータによると、国内のVantageユーザーにも、新機能/機能拡張の提供体制が整っており、日本の主要顧客に対してもクラウドファーストな戦略を明確に打ち出したかたちだ。数年前までは、金融や製造の大手企業を中心に、オンプレミスのハードウェアアプライアンスを主力製品として提供していたことを振り返ると、2年前のVantageの投入を境に、テラデータ自身も大きく変化していることがうかがえる(画面1)。

画面1:2018年11月に次世代のクラウドアナリティクスプラットフォームとして発表したTeradata Vantageは、現在のテラデータの戦略をそのまま具現化した製品と言える
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 「アナリティクスの主戦場はクラウドへと移った」。こう断言するのは、日本テラデータ エンタープライズ・テクノロジーセールス事業部 事業部長の小永井崇氏(写真1)である。同社は今後、激戦化すると思われる"Analytics on Clouds"の世界で、その存在価値をどう際立たせようとしているのか。小永井氏と、同社エンタープライズ・テクノロジーセールス事業部 クラウドアーキテクトの笹間則克氏(写真2)に聞いてみた。

アナリティクスにもDRが欠かせない理由

──まず、ディザスタリカバリサービスの「Teradata DRaaS」のAWS/Azure提供について。これは、すでに提供している「Vantage on AWS」「Vantage on Azure」のオプションサービスとして加わるかたちですか。

写真1:日本テラデータ エンタープライズ・テクノロジーセールス事業部 事業部長の小永井崇氏

小永井氏:はい。ただし、パブリッククラウドを利用するVantageユーザーだけでなく、オンプレミスのユーザーであっても、災害/緊急時のリカバリ環境としてTeradata DRaaSを利用可能です。つまり、ユーザーはいかなる利用形態でも、クラウド上にアナリティクス業務の継続性を確保できる基盤を持つことになります。

──ディザスタリカバリ(DR)サービスはこれまで、SAPやRDBMSといったティア1の業務システムのワークロードを対象にしたものが中心で、アナリティクスにフォーカスしたサービスは多くなかった印象があるのですが。

小永井氏:テラデータのユーザーに関しては、その考え方はあまり適用されないと思います。ユーザーにとってアナリティクス業務がダウンタイムで使えなくなってしまうということは、単なる収益減にとどまらず、法的にも、また顧客対応においてもさまざまなダメージをもたらす事態に直結します。アナリティクスの本番環境に計画外のダウンタイムを生じさせてはならない。これは我々の顧客に共通する認識です。

 しかし一方で、アナリティクスのリカバリサイトをユーザー自身が構築するのはROIやコストの面からみてかなり敷居が高いことは事実です。実際、信頼性の高い2次アナリティクス環境を業務継続計画に含めている企業はごくわずかしかありません。そこで、テラデータは信頼性の高いパブリッククラウドをスピンアウト先として、コスト効率の高い、オンデマンドで利用できるDRを提供することにしたのです。

写真2:エンタープライズ・テクノロジーセールス事業部 クラウドアーキテクトの笹間則克氏

笹間氏:DRを構築するには、これまで追加の物理システムが必要でした。しかしTeradata DRaaSは計算処理とストレージが分離されているパブリッククラウド上で提供するので、平常時には計算処理リソースが使われることがなく、顧客が無駄なリソース費用を負担する必要はありません。クラウドのVantageユーザーはもちろんのこと、オンプレミスの顧客にとっても、クラウド上にリカバリサイトを確保することで自社の物理システムを有効に活用し、ROIを高め、さらにハイブリッドクラウド活用への道が拓けることになります。

●Next:「ユーザーを見れば、テラデータのクラウドファーストは必然だった」

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