[インタビュー]

「クラウドネイティブ技術で、データ専門家が分析に集中できるツールを届ける」

米SAS Institute 技術担当シニアバイスプレジデント ギャビン・デイ氏

2020年9月1日(火)鈴木 恭子(ITジャーナリスト)

企業が収集・保有している多種多様なデータを分析して、インテリジェンスに昇華させ、有用な知見を得て競争力を強化する──。データドリブン経営の必要性が叫ばれて久しいが、実際には「とりあえずデータを収集したが、それらをビジネス価値に変換できていない」ケースが大半だ。新世代のアナリティクスツールはそんなユーザーにとって解決の糸口になるのか。米SAS Instituteの技術担当シニアバイスプレジデント、ギャビン・デイ(Gavin Day)氏に話を聞いた。

 データドリブン経営を目指して取り組むも、十分な成果を得られていない企業は、何に躓いているのだろうか。要因の1つには、データ分析のハードルの高さがある。

 米国のアナリティクス製品ベンダーであるSAS Instituteは、この課題への解として、「アナリティクスの民主化」を掲げ、専門知識を持たないユーザーでも高度な分析を可能にするという触れ込みで、クラウド型データ分析/AIプラットフォーム「SAS Viya」を提供している(関連記事Azure連携強化とコンテナベースの「Viya 4」─“分析の民主化”に向けたSASの取り組み)。

写真1:米SAS Institute 技術担当シニアバイスプレジデントのギャビン・デイ(Gavin Day)氏

 SASは2020年6月にオンラインで開催した「SAS Global Forum 2020」において、最新版の「Viya 4」を発表し、強化された機能を世界のユーザーに訴えている。同社で技術担当シニアバイスプレジデントを務めるギャビン・デイ(Gavin Day)氏(写真1)は、「Pay-as-you-go(従量課金)モデルでの提供により、これまでSASを利用していなかった規模の企業でも、業務プロセスの一環としてアナリティクスが当たり前になる」と自信を見せる。

 では、現時点でデータドリブン経営に至らないユーザーが、「分析の民主化」を実感して競争力を高めていくにあたって、Viya 4は投資に足る製品なのか。それを探るため、デイ氏にいくつか質問してみた。

クラウドネイティブが分析ツールにもたらすもの

──SASはマイクロソフトとのアナリティクス/AI分野での広範な提携を発表した。これはSASのアナリティクスにどのようなインパクトをもたらすのか。

 我々は長年、さまざまな分野で協業や製品・技術の統合に取り組んできた。今回の提携もそうした取り組みの一環だ。事実、SASユーザーの多くはマイクロソフト製品を活用しており、クラウドに関しては、Microsoft Azureの利用が、AWS(Amazon Web Services)やGCP(Google Cloud Platform)と比較しても圧倒的に多い。だから、顧客の利便性を考えても、製品レベルでの統合は大きな意味を持っているし、マーケティングの観点からも、両社が得るメリットは大きい。

 ただし、だからといってAWSやGCPのユーザーを蚊帳の外に置くということではない。我々の役目は、顧客が必要とする場所、それがクラウドであろうとオンプレミスであろうと、常にSASを活用できる環境を整えることにある。

──Viya 4では、クラウドネイティブ技術を用いてアーキテクチャを刷新している。その結果、これまでのSASツールとは何が異なってくるのか。

 Viya 4で、コンテナ/マイクロサービスベースのアーキテクチャになったことの意義は大きい。Kubernetesのすぐれたオーケストレーション機能を利用して、データサイエンティストにとって煩わしい、データプリパレーションの手間は削減される。そして、モデルの開発/展開の自動化、データ品質管理やデータ統合などが実現されるようになった。これらはCI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリ)プロセスで、継続的に実行可能だ。まもなくViya 4の正式リリース(2020年9月予定)だが、それまでの間にもこのプロセスに磨きをかけていく(図1)。

図1:Kubernetesのオーケストレーションの下でViyaのアナリティクスワークロードを走らせることのメリットは大きいとデイ氏は力説する(出典:米SAS Institute)
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 また、個人的見解だが、近年は「アナリティクスにAIを」といったフレーズが乱用されており、その実態が伴っていないと感じている。顧客は何よりビジネス上の課題解決が重要であり、AIは課題解決の一手段にすぎない。SASはこの観点に立脚し、何年も前から顧客のユースケースに沿ったAIの開発を続けてきた。

●Next:SAS Viyaは大企業だけのツールではない

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