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キヤノンITS、EDIのスケジュール実行ソフトに新版、INS/インターネットEDIの併用を容易に
2021年2月25日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)
キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は2021年2月25日、EDI(電子データ交換)ミドルウェアの起動を制御できる運用管理ソフトウェアの新版「EDI-Master JS Standard V5.2」を発表した。同日販売を開始した。新版では、ebMSv3手順の通信ソフトウェア「EDI-Master B2B for ebMSv3-Client」を管理できるようにした。新版ではさらに、メール認証機能を強化し、SSL/TLS化していないTCP/IPベースの通信手順全般をSSL/TLS化するプロトコル変換ゲートウェイソフトウェア「EDI-Master B2B TLS-Accelerator」を組み合わせることで、 Office 365などの外部メールサーバーを認証手段として利用できるようにした。価格(税別)は、24万円。
EDI-Master JS Standardは、EDI(電子データ交換)システムのジョブをスケジュール実行できる、EDI業務向けの運用管理ソフトウェアである(図1)。キヤノンITSのEDIミドルウェア製品群「EDI-Masterシリーズ」や任意の業務アプリケーションを、スケジュールやジョブフローなどの条件に合わせて起動できる。スケジューラ、ファイル連携、ジョブフロー制御、イベントログ監視、メール通知など、EDIシステムを運用するための一連の機能を提供する。
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新バージョンでは、管理対象のミドルウェアを拡充した。EDIソフトウェアの「EDI-Master B2B Gateway」などに加えて、電子機器業界のインターネットEDI方式として使われているebMSv3手順の通信ソフトウェア製品「EDI-Master B2B for ebMSv3-Client」を制御できるようにした(関連記事:キヤノンITS、ebMSv3手順の通信ソフトウェア「EDI-Master B2B for ebMSv3-Client」)。
新たに制御できるようになったEDI-Master B2B for ebMSv3-Clientは、ebMSv3(ebXML Messaging Service Version 3.0)手順のクライアントソフトウェア。電子部品業界のEDIの標準を取りまとめる一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は、2024年に終了するINSネットからの移行ガイドラインにおいて、ebMSv3手順への移行を第一に推奨している。
ebMSv3の特徴は、前版の「ebMSv2」(ebXML-MS 2.0)と異なり、サーバー間のプッシュ型の通信に加えて、クライアントがサーバーにデータを取りにいくプル型の通信ができること。中小のサプライヤーは、常時サーバーを立てておくことなく、必要に応じて小売業のサーバーにアクセスして発注データを入手できる。同様のプル型プロトコルの例にJX手順がある。
INSネットからインターネットEDIへの移行の過渡期には、従来型EDIとインターネットEDIを併用したシステム運用が必要になる。ここで、業務アプリケーションを含めたEDIシステムのジョブスケジューリングが重要になる。キヤノンITソリューションズでは、ジョブスケジューラからEDI-Master B2B for ebMSv3-Clientを制御できるようにした意義を、こう説明する。
EDI-Master JS Standardの新バージョンではまた、メール認証機能を強化した。SSL/TLS化していないTCP/IPベースの通信手順全般をSSL/TLS化するプロトコル変換ゲートウェイソフトウェア「EDI-Master B2B TLS-Accelerator」と組み合わせることで、Office 365などの外部メールサーバーを認証手段として利用できるようにした(関連記事:キヤノンITS、全銀TCP/IP手順をインターネット化する中継ソフトに新版、セキュリティ機能を追加)。電子機器業界の企業との受発注やメール通知など、各種のニーズやシステム環境に合わせて利用できるようになった。