SAS Institute Japanは2021年5月13日、データ分析プラットフォーム「SAS Viya」を強化したと発表した。新たに、SAS Viya環境で利用できる2つのデータ分析アプリケーションを追加した。データ分析者がセルフサービスでデータを整備できるツール「SAS Studio Analyst」と、必要なデータをすばやく見つけられるようにするツール「SAS Information Governance」である。今回の強化は、2021年5月3日に米SAS Instituteが発表した内容に基づいている。
「SAS Viya」は、データ分析機能をAPI経由で利用できる基盤ソフトウェアである(関連記事:SAS Viyaを“クラウドネイティブ化”、「分析基盤のクラウドシフト」がもたらすもの)。Web API経由でデータ分析機能を利用したり、JavaやPythonなどのプログラミング言語からそれぞれのAPIライブラリを介してデータ分析機能を利用したりできる。
SAS Viyaは、データ分析機能を提供するシステム基盤のアーキテクチャの名称であるとともに、このアーキテクチャの上に構築した個々のデータ分析アプリケーションの総称でもある。例えば、マシンラーニング(機械学習)/AIを活用してデータを分析できるアプリケーション「Visual Data Mining and Machine Learning」など、SAS Viyaをベースとしたソフトウェアも用意している。
今回、SAS Viyaで利用できる2つの新しいアプリケーションを発表した。データ分析者がセルフサービスでデータを整備できるツール「SAS Studio Analyst」と、必要なデータをすばやく見つけられるようにするツール「SAS Information Governance」である。SAP Viyaの最新版に、これらのソフトウェアが含まれている。
SAS Studio Analystは、データ分析者がセルフサービスでデータを整備できるソフトウェアである。データサイエンティストやデータアナリストに対して、信頼できるデータを素早く分析に適用できるようにするセルフサービス環境を提供する。データの品質を高めて分析用のデータを準備するステップを、フローの一部として視覚的に構築できる。
SAS Instituteは投入意図として、日常業務においてデータ分析やAIの活用が進んでいる中、適切な場所かつ適切なタイミングで、適切な状態のデータを調達することの需要が高まっている状況を挙げる。
もう1つのSAS Information Governanceは、必要なデータをすばやく見つけられるようにするソフトウェアである。データカタログとメタデータ検索機能を提供する。アナリスト、業務部門、IT部門は、データの流通を制御してデータを保護しながら、データリソースを見つけて取得できる。データの検索や体系化に要する時間を減らし、実際の分析にかける時間を増やせる。
投入意図として、データソースが無限に存在する世界では、利用可能なデータを把握し、データセットのコンテンツを見極め、分析に役立つかどうかを評価することが難しいという状況を挙げ、「増え続けるソースから得られるデータ量が増えるにつれて、こうした課題は複雑化し、データ分析のアウトプットの価値にも影響を及ぼす」としている。