顧客エンゲージメントとEメール(以下、メール)とは切っても切れない関係にあるが、昨今、企業のマーケターなどを悩ます新たな課題が浮上している。各社が凌ぎを削る中で、メール作成やキャンペーン展開などの業務負荷は高まるばかり。さらに悪質メール対策との兼ね合いで到達率が低迷し、せっかくの施策が思うように結実しないという由々しき問題に直面している。ここで解決策として注目を集めているのが、Twilioが提供するメール配信基盤「Twilio SendGrid Email」の「Email API」と、メールキャンペーン管理支援ツール「Marketing Campaigns」だ。その実態や特長とは──。
顧客エンゲージメントでメールの実績が際立つ
顧客エンゲージメントにおけるEメール(以下、メール)の価値については、あらためて多くを説明するまでもないだろう。相手の時間を拘束せずに、画像などを交えたリッチなメッセージを安価に届けられるメールは、リード獲得や各種オペレーション、アフターフォローなど、顧客との良好な関係を築いて維持する活動のあらゆるフェーズで今なお中核的なポジションにある。
LINEなどのメッセージアプリやSMSといった他のコミュニケーション手段も多々存在し、それぞれ一長一短があるが、メールは何よりも実績があって顧客も慣れ親しんでいる。配信後には、開封率はもちろんのこと、Webアクセスなどの状況も追える。各種の分析を通じ、コンバージョン率といったKPIを参考にしながら、顧客体験のさらなる向上に向けたPDCAを回せることもメールの大きなメリットだ。過去のメッセージを検索しやすいなどの利便性も見逃せない。
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顧客への働きかけの手段としてメール活用が拡大する中で、存在感を強めてきたのがクラウド型メール配信サービスだ。自社インフラでは困難な大量のメール配信を一手に引き受けるもので、配信インフラの管理労力軽減や配信疎通状況に応じた動的な運用、プライバシー等の業界動向に対する着実な追随を期待できる点などが特徴。自社システムを増強する手間やコストをかけることなく、メールを中軸とするマーケティング施策を効率的に実施できるとあって採用する企業が続々と出てきた。
メール配信サービスの思わぬ落とし穴
もっとも、最近では悩ましい問題も露呈している。送信先のアドレスが正しくとも、相手のメールボックスに届かないケースが少なからず発生するのである。メールを送る側の企業として、文面やビジュアルに想いを込めて完成させた後、メール送信ボタンを押せば(あるいは配信サービスにセットした日時になれば)相手の受信ボックスに新着メールが直ちに出現すると思い込みたい所だが、現実はそれほど甘くて単純なものではない。
背景には、級数的に増加するサイバー攻撃の糸口としてメールが悪用されていることがある。メールが相手に届くまでには複雑な経路をたどるのだが、GmailやYahoo!メールなど、いわゆるメールボックスプロバイダ側では“怪しいメール”か否かを常にチェックすることを徹底するようになった。「送信元IPアドレスのレピュテーション(評判)が低いもの」「同一ドメインから実績のあるパターン・量を大きく超えて送られてくるもの」「認証されていないドメインから送られてくるもの」などは、当然ながら配信が拒否され弾かれてしまう。最初の関所を抜けたとしても、受信側のフィルタリング処理で「スパムフォルダ」に自動区分するような機能も日に日に進化しているのは周知の通りだ。
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それだけ悪質な攻撃メールや迷惑メールが横行している証左であり、これらの仕組みは世の中の混迷を抑制する意味で大いに役立っていると言えるだろう。「その反面で、企業側が顧客エンゲージの文脈で“良かれ”と思っているメール配信も、時に“健全ではない振る舞い”と勘違いされて実際には届かないという現象が起こっているのが昨今の実情なのです」と説明するのは、Twilio Japanの正木寛人氏(プロダクトマーケティング)だ。いかんともしがたい潮流に企業の担当者は頭を悩ませている。
せっかくのマーケティング施策を無駄にしないために
知恵を絞り、あの手この手で仮説検証を重ねながら実施しているマーケティング施策も、メールが相手に届かないことには全てが水泡に帰すことになる。一口にメール配信業務と言っても、一連の作業には思いのほか手を煩わせるものだ。「一人でも多くの人の興味を引いて中身を読んでもらえるように、タイトルや文面、レイアウトなどには多くの工夫が求められます。URLのリンクが正しいかなど細かなチェック作業がありますし、配信先アドレスのメンテナンスも欠かせません。個々の手間は小さくとも積み上げた際の負荷の大きさは推して知るべしです」(正木氏)。
せっかく時間もコストもかけて展開するメール起点のマーケティング施策をいかにして結実させるか──。その解として今、注目と期待を集めているのが、Twilioが提供するメール配信基盤「Twilio SendGrid Email」の「Email API」と、メールキャンペーン管理支援ツール「Marketing Campaigns」だ。
このうちMarketing Campaignsについてはマーケターが画面を通してメールキャンペーンを行う際に利用することからSaaSサービスとしての“顔”も持つものの、いずれのサービスも本質的にはコミュニケーション機能を基盤も含めてAPIで提供し、既存システムとの自在な連携を可能とするクラウドサービス「CPaaS(Communications Platform as a Service)」に分類されるものだ。
CPaaSの分野でリーダー的存在であるTwilioは、わずかなコード記述しか要しない群を抜く柔軟性とスピードを強みに、2008年の創業以来、ユーザーの裾野を拡大させてきた。同社のアカウント数はすでに180カ国で24万を超えている。
そんな同社は2018年、メール配信サービスで既に地歩を築いていたSendGrid社を買収し、Twilio SendGrid Emailとして継承しつつポートフォリオを強化。その後も順調に利用を伸ばし、累計の送信メール数は2021年に4兆を突破し、米国の年末商戦にあたる昨年のブラックフライデーには1日あたり58億通のメールを処理した実績を誇る。
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高い性能と到達率で頭角を現した「SendGrid Email」
Twilio SendGrid Emailが市場で耳目を集める背景には、メールセキュリティが厳格化する中にあっても高い到着率を維持していることがある。秘密は各種の仕掛けにある。
筆頭に挙がるのが送信ドメイン認証への対応。リバースDNSや最新の公開鍵暗号により送信元ドメインを認証し、受け取り拒否の原因となるメールの不審性を払拭するものだ。また、一定時間内の受信メール数を制限するスロットリング処理で受信が拒否されることもあるが、この点では受信側からのスロットリングの通知を基に、受信完了まで72時間にわたり継続送信する機能をSendGrid Emailは用意する。スロットリングは一定時間後に解除されることから、それだけ到着率を高められることになる。
メールの到着率を高めるには、送信ドメインのレピュテーション向上も重要な鍵を握る。「同一ドメインを他ユーザーと共用しがちなクラウド型メールサービスではなかなか難しいのですが、Twilio SendGrid Emailでは専用ドメインを利用できるメニューも用意しています。メールに精通したコンサルタントも数多く抱えており、レピュテーション向上を含めて多面的に支援する体制を整えています」と正木氏は話す。
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高い総合力で知らせたいタイミングで届ける
そのうえで、基盤自体の高い処理能力が人気を下支えする。配信側としてはメールボックスに到着するタイミングは早ければ早いほど望ましい。例えばブラックフライデー後に届いたセールのメールは顧客にとって何の価値もなく、逆にスパムメールとして配信側の評価が下がる原因になる。その点、Twilio SendGrid Emailであれば「処理基盤だけなく、大手メールボックスプロバイダーとのダイレクト接続などネットワーク側の工夫により、配信からメールボックス到着までの時間を、これほど膨大なメールを処理しながら中央値で1.9秒にまで抑えています。つまり、知らせたいタイミングにほぼリアルタイムで通知できるわけです」(正木氏)。
Twilio SendGrid Emailの国内の代表的なユーザー企業が大手航空会社のA社だ。数十万規模の瞬間的なスパイク配信に耐えうる性能を評価し、運行情報のアラートや通知のために採用し、メール到着率を97.7%まで高めることに成功している。また、海外のとある不動産会社は、画像をふんだんに使った不動産の紹介メールの配信に活用し、併せてSMSと組み合わせた施策を展開することで顧客に対する知見を深めることに成功している。※お客様事例サイトはこちらhttps://www.twilio.com/go/customer-japan-1
メールマーケティングをマーケター自身で回すツール
Twilioのもう1つのEメール系サービスであるMarketing Campaignsは、その名の通り、メールマーケティングの支援機能を集約したサービスと言える。メール作成や配信管理にまつわる煩わしさは前述の通りだが、前者に関しては事前に用意された豊富なテンプレートと専用のエディターにより、経験が浅く専門知識が十分ではないマーケターでも完成後のHTML表示をプレビューしながら見栄えの良いコンテンツを効率的に作成できる。キャンペーンの展開も簡単で、様々な条件によって分岐させることのできるメール配信設定を、直感的なマウス操作で行うことができるのが特長だ。
リンク切れなどの各種の自動チェック機能が用意されているのもうれしいところ。さらに分析機能は、メールの開封率やクリックスルー率の改善などの施策立案に大いに役立つ。1000万人規模の膨大なメールアドレスの管理も、セグメンテーションエンジンによりきめ細やかに行うこともできる。
「Marketing Campaignsは、テクニカルな知識やスキルがないマーケターでも操作性の高い画面を通して容易に使いこなせます。またセグメンテーションやキャンペーンの管理など、APIによって業務にシームレスに組み込むことができ、一般的なメールキャンペーンツールと比べても格段に柔軟性が高いのがSaaS、CPaaSの両方の“顔”を持つMarketing Campaignsならではのメリットです」と正木氏は説明する。
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Twilioでは、SendGrid EmailのEmail APIとMarketing Campaignsのさらなる機能強化もすでに視野に入れている。具体的には、オンプレミスツールからの移行をレピュテーション維持の観点から支援する機能、現状想定よりも高いセキュリティーコンプライアンス要件への適合、ボイス/SMS等と同じ操作感の高度ダッシュボード機能の導入などに取り組むという。
メールは今後も顧客エンゲージメントの有効なツールであり続けることに間違いはない。体験価値の向上を視野に、企業は他のツールとも組み合わせながら、さらに洗練された取り組みを加速させていくことだろう。そんなシーンにおいてTwilioは、多様なチャネルやサービスを網羅したCPaaSとしての特長を武器に、利用企業を常に高みへと導いてくれるはずだ。
●お問い合わせ先
Twilio Japan合同会社
Web https://www.twilio.com/ja/
メール info_japan@twilio.com
SendGrid Emailの詳細について
https://www.twilio.com/ja/sendgrid/email-api
Marketing Campaignsの詳細について
https://www.twilio.com/ja/sendgrid/marketing-campaigns