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[データマネジメント2022]

ITよがりのデータ品質の考え方から脱却した「成功するデータ統合基盤づくり」のツボ

2022年5月12日(木)

苦労してデータ統合基盤を構築したにもかかわらず、利用ユーザーからの評判が著しく悪く利用されないというケースは珍しくない。こうしたケースでは、システム性能や機能は十分だった一方で、データ品質を保つための仕組みやデータ運用ルールの整備が不十分であったことが原因の多くを占めている。では、何をどうすればよかったのか。3月10日に開催された「データマネジメント2022」に登壇したリアライズの太田正秀氏は、現場ファーストの観点から成功をもたらし、企業価値向上に資するデータ統合基盤づくりのポイントを解説した。

データ統合基盤が陥りがちな6つの失敗パターン

 データとデジタル技術を活用して製品やサービス、ビジネスモデルを変革するためにデータ統合基盤に対する投資のCAGR(年平均成長率)が毎年2桁の勢いで急増している。企業優位性を確保するために、各社ともデータ統合基盤の投資に積極的である。

データ統合基盤への投資は著しく増加している
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 そもそもデータ統合基盤とはいかなるものか。リアライズの取締役でありデータマネジメント事業本部長を兼務する太田正秀氏は、「日常生活に例えるなら、データは “水”にあたります。水たまりの水をそのまま飲む人はいません。整理されていないデータを、安心して利用できる “おいしいデータ” にしたり、好みにあった “喜ばれるデータ” にしてお届けする必要があります。」と表現する。つまり、社内外のさまざまなデータを、IT技術を駆使して有機的につなぎ、データを整理し、求められる状態で提供できるようにするのがデータ統合基盤である。

株式会社リアライズ 取締役 兼 データマネジメント事業本部 本部長 太田 正秀氏

 データ統合基盤は、デジタル推進に取り組む企業にとって不可欠だが、実際には導入や活用で失敗するケースが散見される。太田氏は具体的な失敗事例を6つ挙げた。

1:グローバル製造業におけるデータ選定に失敗したケース
 データ統合基盤導入にあたり、製造業だから生産データを最優先して収集すべきという判断のもと、全世界の拠点から生産実績を集めた。ところが、そのデータの活用者はわずか数名しかおらず、せっかく集めたデータが無駄になってしまった。この場合、IT部門だけで進めるのではなく、計画策定の段階から業務部門とタッグを組む必要があった。

2:インフラ選定に失敗したケース
 将来的なデータ量の増加に対応し、処理スピードを確保できる新たなデータベースの導入を求められたが、どれほどデータ量が増えるか判断できなかったので、とりあえず既存データベースのバージョンアップで対応した。その結果、想定以上にデータ量が増えたため、このデータベースは2年も待たずに動かなくなってしまった。この場合、先の見積もりができないことを考慮し、クラウドを利用するなどのスケールアウトを考える必要があった。

3:データ投入後に処理しきれないことが判明したケース
 数億件に及ぶ売上データやPOSデータをクラウド上のデータベースに投入し、SQLで動かしたが、動作が重く、たびたびタイムアウトで処理が停止してしまう。これらを快適に動かすためには、毎月数百万円の追加クラウド費用が必要であった。クラウドやオンプレを組み合わせて、最適コストで運用できるようデータの量、形式、格納場所の設計が必要である。

4:グローバルでのデータ連携ができないケース
 共通のERPパッケージをグローバルで導入しているので、データさえ集めれば全世界横断でコスト集計できると考えた。しかし実際にデータを集めてみると、国ごとでコード体系が違う、データが登録されていないなどのデータ欠損がある、ローカル文字が使われているといった問題が明らかになり、結局そのままでは集計ができなかった。いくらグローバルで同じERPを展開していたとしても、現地で運用している場合、99%の確率で現地ルールが存在しているので、初めにデータアセスメントを行い、データ品質の見極めが必要である。

5:オンライン利用開始までにデータ更新が終わらないケース
 データレイク、ステージング、データウェアハウス、データマートなどを導入し、データを階層化して管理しているのはよいが、データの更新に時間がかかりすぎてタイムリーに最新データが見られず、データによるリアルタイムでのビジネスの可視化という当初の目的が果たせなかった。基本に忠実なシステム構成を設計するのも良いが、Hadoopなどの最新技術を賢く利用してスマートなシステム構築を行う必要がある。

6:サービスイン直後からレガシー扱いとなってしまったケース
 2年がかりでデータ統合基盤のサービスインに漕ぎつけたところ、直後に上司が変わって「自分が求めているものと異なるので、作り直すように」と、廃止サービスにされてしまった。企業なので人事異動は起こりうるという前提で、ステップ展開で短期的に効果を出し、実業務に組み込むといったリスクヘッジが必要である。

データ品質の考え方は現場ごとに異なる

 前述のような失敗を繰り返さないため、どのような方針でデータ統合基盤づくりに臨むべきだろうか。「データ分析用途に構築したデータ統合基盤の場合、ここから業務系アプリケーションへデータ連携させてはいけません。この2つは求めるデータ品質が大きく異なります」と太田氏はアドバイスする。

 たとえば販売管理システムの販売実績データをデータ統合基盤に取り込み、リコール対応などの重要な業務系アプリケーションで利用したとすると、その業務の担当者にしてみれば「データ品質が100%でなければ業務に利用できない」と高いデータ品質になるまでサービスインを認められないだろう。しかし、データ分析を目的として利用する商品企画担当者からは「あくまでもサンプリングでのデータ分析だから、100%の精度でなくて構わないので早く提供してほしい」と、180度違った要求が寄せられてくる。

データ分析用途のデータ統合基盤に、業務系アプリケーションへのデータ連携機能は持ち込まないことが肝要
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 また、本来のデータ分析のスコープから外れたデータを、“なんでもかんでも” 取り込んでしまうとシステムは動かなくなってしまう。「より多くの賛同者を集めるために使えそうなデータを全て連携したくなる気持ちは理解するものの、業務によってデータに対するSLAがまったく異なるので自分の首を絞めることになります」と太田氏は説く。

 さらに太田氏は、データ品質に対する考え方が現場ごと、業務ごとに異なることについても言及し、「ITよがりなToo-much品質を追求するのではなく、利用用途や目的に応じたレベルでの改善活動が必要です」と強調する。

データ活用の “All in oneサービス” を提供

 以上のようなポイントを踏まえつつ、リアライズはデータ統合基盤やデータ分析基盤づくりを成功に導くためのソリューションを提供している。

 「設立20周年を迎えた私どもは、データマネジメントの専門家ならではの経験と発想を活かし、従来から提供してきたデータマネジメントサービスに加え、新たにデータ活用サービスを開始しました。お客様の目的を叶えるために、データ活用のAll in oneサービスを提供します」(太田氏)。

 リアライズのデータマネジメントサービスの特長は、データ(現実・現物)の状態を解析してビジネスプロセスやシステムの改善策を提案する『データアセスメント』、ツールの提供ではなく中身のデータに特化した『データ設計』のほか、『データガバナンス』にも対応している点だ。「データガバナンスはDMBOKをベースとし、これまでリアライズが培ってきた知見・経験を体系化したデータマネジメントメソッドの導入から定着化まで、幅広く支援します」と太田氏は語る。

 そして新たに提供を開始した『データ活用サービス』でも、リアライズのデータマネジメントに関するノウハウを活かした『データ前処理』から『データカタログ』の設計と定着化、見た目だけでなく表示データの正しさにこだわった『ダッシュボード設計/開発』にいたるまで、トータルな支援ができることを特長としている。

 さらに、このデータ活用サービスの1つとして2022年夏には、飲食店POSデータを分析し、需要予測などを提供するクラウドサービスの提供を新たに開始する予定だ。AIを駆使した高度のデータ分析力を持つリアライズと、3,500店舗以上の店舗管理システムを運用するイー・カムトゥルーがタッグを組むことで実現したもので、ポストコロナ時代の「飲食経営羅針盤サービス」を目指すという。

 このようにリアライズはデータマネジメントサービスとデータ活用サービスをビジネスの両輪としつつ、「1+1=2にとどまらない、1+1=3の付加価値を創出していきます」と太田氏は今後に向けた意気込みを示した。


●お問い合わせ先

株式会社リアライズ
URL:https://www.realize-corp.jp/
問い合わせフォーム:https://www.realize-corp.jp/contact

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