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[データマネジメント2022]

企業に真のデジタル変革をもたらすロードマップの描き方とは?

2022年5月17日(火)

DXに取り組む企業は増えているが、「成功」を遂げている企業はまだ多くない。その理由には、システムの導入が目的となってしまい業務改善や変革に繋がっていないことが挙げられる。DXの本質となる企業の”変革”を実現するためには、「構想策定・企画フェーズで組織を横断した目的を設定し、活動の輪が社内に自然と広がっていくようなロードマップの策定が不可欠」とデータ総研チーフコンサルタントの京角友恵氏は訴える。

さまざまな取り組みに着手するものの、進まない企業のDX

 多くの企業において、デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現に向けた取り組みが積極的に進められている。だが、現実に目を向けると、「システムを導入・刷新したが業務が変わらなかった」「一部門で始めた取り組みが全社に広がらない」「データ化しただけでプロジェクトが終了してしまった」など、さまざまな悩みや課題が生じている。

 「それらの悩みの主な原因は、自社におけるDXの全体像が考えられていないことにあります」とデータ総研チーフコンサルタントの京角友恵氏は訴える。

株式会社データ総研 コンサルティンググループ チーフコンサルタント 京角 友恵氏

 「企業のDX推進の取り組み状況を注視すると、データ化や脱レガシー、RPAの導入など、分かりやすいIT施策が先行する傾向にあります。しかし、本来であれば、そうした施策を行う前に『自社としてのDXとは一体何か』『全社最適の視点から自社はどうあるべきか』について検討しなければならないのです」(京角氏)。

企業のDXが進まない背景
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DX導入を成功に導くためには構想策定と企画フェーズが重要

 これらの課題を踏まえ京角氏は、自社にとって最適なDXを実現するために重要となる「構想策定フェーズ」「企画フェーズ」の進め方について、事業、業務の視点を中心に押さえるべきポイントを解説した。

 はじめに京角氏は構想策定・企画フェーズの全体像を提示し、「経営レベル」「事業レベル」「業務レベル」の大きく3つレベルで、それぞれに検討を進めていくことが必要であると述べた。

DX推進のための構想策定・企画フェーズの全体像
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 「具体的には、経営レベルでは中期経営計画や経営方針等を定めていきます。また、事業レベルでは財務・営業、マーケティング他、各部門の目的を設定。そして業務レベルでは現場の担当者レベルで、どういった業務施策が必要なのか、ヒト・モノ・カネの視点で定めていくのです。さらにこの業務施策と連動させながら、システムアーキテクチャや、データといったIT施策についても検討していくことが重要です」(京角氏)。

 今回のセッションでは、事業レベルと業務レベルを中心に、構想策定・企画フェーズにおいて留意すべきポイントについて詳細な解説が行われた。

 はじめに事業レベルで生じているDX推進における課題として、京角氏は、「プロジェクトが長期化する中で、本来の目的が不明確になってしまう」「スモールスタートで始めた取り組みが全社に広がらない」といった点を指摘。これらの原因として「中期経営計画等、組織横断の目的と部門ごとの目的が不明確であること」や、「目的設定の検討範囲が自部門内に閉じていること」を挙げる。

 京角氏は、課題解決のためには、以下の3ステップの施策が必要と語る。

① DXに関する共通認識を策定する
② 部門間のつながりを把握する
③ 上位目的と部門間の繋がりを押さえながら、部門ごとの目的を設定していく

 「例えば、①のステップでは、改めて自社にとってのDXを定義したうえで、自社のあるべき姿を共有し、そして部門ごとに目的設定を行っていくことが重要です。また、②の部門間のつながりの把握は、従来のように経営層が全体最適を考えるだけでなく、各部門においても自部門の活動が他部門にどう影響するのかを理解したうえで、業務の最適化に取り組んでいかなければなりません」(京角氏)。

 そして、③では、部門ごとに異なる課題感やニーズを洗い出したうえで原因を特定、さらに対応する部署と対応方針、KPIを設定し、中長期のロードマップにまとめ、グランドデザインを描いていくことが重要となる。

DX推進における事業レベルでの構想策定と企画フェーズのポイント
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業務レベルにおいて留意すべき構想策定・企画フェーズの3ポイント

 続いて業務レベルにおける構想策定・企画フェーズのポイントついて解説が行われた。

 業務レベルの課題としてよく耳にするのは、「システムの導入が目的となってしまい、業務改善や変革に繋がらない」「現場の声を聴いた結果、取り組むべき課題やニーズが絞り込めない」「現場から出て来た困り事への対応といった、小さな改善の積み重ねになってしまい、大局的な施策に繋がらない」といったケースだ。

 京角氏は、「これらの原因は、データ化や脱レガシー、RPA導入など、システム面での取り組みに焦点が当てられがちで、結果、システムの置き換えで終わってしまい、業務の改善につながっていないことが挙げられます」と指摘する。

 これらの課題の解決策として京角氏は3つのポイントを提示する。それぞれについて見ていこう。

  1. 既存システムの大枠を押さえる
  2. 業務課題とニーズを押さえる
  3. 一時点までのロードマップと完成イメージを描き、実行していく
DX推進における業務レベルでの構想策定と企画フェーズのポイント
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1. 既存システムの大枠を押さえる

 はじめに現状のシステムを棚卸して、全体像を整理していく。「DXはあくまでも手段であり、システム導入や改定も目的にはなり得ませんが、システムへの対応が必要なケースが多いのも現実です。しかし近年、部門最適化によるシステムの個別導入やIT担当者の属人化等が進んだことにより、全社のシステムの構成が見えにくくなっているのです」と、京角氏は訴える。

 「全体像を把握する際には、システムとアーキテクチャ、データの3つの視点で整理を行っていくのがポイント。例えば、システムの視点では『社内にどのようなシステムがあるのか』『誰がどのような用途で利用しているのか』といった情報をまとめていきます。また、アーキテクチャの視点ではシステム間のデータの流れを、データの視点ではどのようなデータが管理されているのか、その関係性を整理していくことが重要です」(京角氏)。

2. 業務課題とニーズを押さえる

 続いて既存システムの大枠と事業レベルで把握した「部門間の繋がり」を基に、データを見たい主な目的であるヒト、モノ、カネの3つの視点で業務課題とニーズを整理していく。

3. 一時点までのロードマップと完成イメージを描き、実行していく

 2でヒアリングや課題整理を進めていく中で、大小さまざまな業務課題とニーズが浮上してくると考えられる。「そうした大小の取組と、現場の担当者や周囲の関係者に、『業務変更に伴う負荷増よりも最終的に得られるメリットの方が大きいこと』を実感してもらう仕組み作りを並行させたロードマップを策定することで、周囲を巻き込みながら進めていくことが必要」(京角氏)という。

 DX実現のためには、ロードマップに定めた一連の取り組みを単に進めるだけでなく、意思決定の方法、ひいては組織の価値観を変革し、新しい価値の創造につなげることが重要となる。京角氏は、「データ総研はこれまで培ってきたデータに関する知見を活かし、これからも企業のDX実現を支援していく」と訴え、セッションの幕を閉じた。


●お問い合わせ先

株式会社データ総研
URL: https://jp.drinet.co.jp/
問い合わせフォーム:https://jp.drinet.co.jp/contact.html

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