[調査・レポート]
右肩上がりの国内EC決済サービス市場、2025年度に33兆円超へ─矢野経済研究所
2022年4月13日(水)神 幸葉(IT Leaders編集部)
矢野経済研究所は2022年4月13日、国内EC決済サービス市場に関する調査結果を発表した。2020年度に19兆円超だった同市場は、2025年度には33兆円を超える規模に成長すると予測している。また、EC決済サービス事業者における対面取引の決済サービス提供や、オムニチャネルの送客等に関する取り組み も強化されていくと分析している。
矢野経済研究所は、国内のECサイト向けの決済サービス提供事業者、関連事業者を対象に、EC決済サービス市場に関する調査を実施した。調査期間は2021年12月~2022年3月で、同社研究員による直接面談(オンライン含む)と文献調査に基づいている。
調査にあたって同社は、EC決済サービスを、「ECサイト運営事業者と決済サービス提供事業者との間に入り、ECにおいて発生する決済業務代行など、主にECサイトを対象に提供される決済サービス」と定義。また、市場規模は対象事業者の取扱高ベースで算出している。
巣ごもり消費やデジタルコンテンツ人気で堅調な成長
調査の結果、2020年度のEC決済サービス市場の規模は前年度比118.6%の19兆4859億円。2021年度は約23兆円(同118.0%)と推計している(図1)。
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市場拡大の背景について同社は、コロナ禍の“巣ごもり消費”に伴った物販系、動画・音楽配信・ゲーム・電子書籍に代表されるデジタルコンテンツ等のEC拡大や、公金領域等におけるオンライン決済サービス利用拡大があると説明。大手決済代行業者を中心にEC決済サービス取扱高が順調に増加しているという。
加えて、決済サービスの対象がB2B領域、対面(リアル)による取引、オムニチャネルに関する決済サービスの提供も拡大傾向にある。同社は「今後、決済代行業者各社はさらなる付加価値の創出のために、これらのサービス提供に注力していく」と見ている。
後払い決済サービス市場規模は8790億円に
2020年度の後払い決済サービス(BNPL、注1)市場については、提供事業者の取扱高ベースで8790億円と推計している(図2)。
注1:Buy Now Pay Laterの略で、後払い決済を総称した概念。クレジットカードのように手数料や信用調査を必要としない。
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堅調な成長の背景として、B2C領域のECにおけるBNPLは、若年層や主婦層などクレジットカード未保有層を中心に利用が広がっていることを挙げている。「利用者の側で、クレジットカードと使い分けて後払いを利用するなどの動きがある。加えて、コロナ禍では宅配業者と対面を避けるため代引きからBNPLへの移行が進む」(同社)。一方で、未払いリスクに対する懸念から加盟店の審査を厳しくする動きも見られるという。
同社は、今後のさらなる利用環境の整備と、それに伴うユーザーの裾野拡大などから、「即時与信の精度向上が進むなどして、2025年度の後払い決済サービス市場は1兆9000億円を超える」(同社)と予測している。
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