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Arm、クラウド型のIoTアプリケーション開発環境を強化、Arm搭載ボードを仮想環境で利用可能に

2022年4月27日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)

英Armの日本法人、アームは2022年4月26日、IoT開発プラットフォーム「Total Solutions for IoT」の機能を強化したと発表した。アプリケーション開発を支援する機能としては、Armプロセッサ/搭載デバイスをクラウド上の仮想環境で利用できるサービス「Arm Virtual Hardware」において、より多くの種類のArmプロセッサやArm搭載デバイスを利用できるようにした。IoTデバイスの開発を支援する機能としては、SoC(システムオンチップ)を迅速に開発するための検証済みIPサブシステム「Corstone」がカバーするデバイスの範囲を広げ、IoTゲートウェイなどの小型Linuxサーバー機にも適用できるようにした。

 英Armは、同社のIoT開発プラットフォーム「Total Solutions for IoT」の機能を強化した。アプリケーション開発を支援する機能としては、ArmプロセッサやArm搭載デバイスをクラウド上の仮想環境で利用できるサービス「Arm Virtual Hardware」において、より多くの種類のArmプロセッサ/搭載デバイスを利用できるようにした(図1)。

図1:ArmプロセッサやArm搭載デバイスをクラウド上の仮想環境で利用できるサービス「Arm Virtual Hardware」において、より多くの種類のArmプロセッサやArm搭載デバイスを利用できるようにした(出典:アーム)図1:ArmプロセッサやArm搭載デバイスをクラウド上の仮想環境で利用できるサービス「Arm Virtual Hardware」において、より多くの種類のArmプロセッサやArm搭載デバイスを利用できるようにした(出典:アーム)
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 「Arm Virtual Hardware」は、Armプロセッサ/搭載デバイスをクラウド上の仮想環境で提供するサービスである。Arm搭載デバイス向けのソフトウェアを開発する企業は、デバイスの実機を入手することなく、Arm Virtual Hardwareを利用することによって、ソフトウェアの開発や動作検証などを行える。

 今回、Arm Virtual Hardware上で利用可能なArmプロセッサ/搭載デバイスの種類を増やした。これまではCortex-M55という比較的新しいArmプロセッサに限って利用できていたが、新たにCortex-M0/M0+/M3/M4/M7/M23/M33を追加し、市場に出回っているすべてのCortex-Mファミリを使えるようにした。

 さらに今回、Arm搭載ハードウェアをそのまま仮想化した仮想ハードウェアボードをArm Virtual Hardware上で初めてリリースした。最初にリリースするボードは、オランダNXP Semiconductorsの「i.MX 8」を搭載したボード、2番目に、スイスSTMicroelectronicsの「STM32U5」を使ったDiscoveryボード、3番目に、Raspberry Pi 4をリリースする。これらの仮想化ボードをクラウド上で使えるようにする。ユーザーは動作を無料で試せる。今後、デバイスの種類を増やす。

 さらに、標準的なDevOpsツールを使ってアプリケーションを開発できるように、Arm純正のソフトウェア開発環境「Keil MDK」のクラウド版を新規に用意した。また、GitHubを介したサンプルコードの提供も引き続き行っている。

SoC開発キットで小型Linuxサーバー機もカバー

 一方、IoTデバイスの開発を支援する機能としては、SoC(システムオンチップ)を迅速に開発するための検証済みIPサブシステム「Corstone」のカバー範囲を広げ、IoTゲートウェイなどの小型Linuxサーバー機にも適用できるようにした。処理能力が低い超小型のIoTデバイスから小型Linuxサーバー機まで、小型IoTデバイスのすべてをカバーするようになった(図2)。

図2:SoCを迅速に開発するための検証済みIPサブシステム「Corstone」のカバー範囲を広げ、超小型のIoTデバイスから小型Linuxサーバー機まで、小型IoTデバイスのすべてをカバーするようになった(出典:アーム)図2:SoCを迅速に開発するための検証済みIPサブシステム「Corstone」のカバー範囲を広げ、超小型のIoTデバイスから小型Linuxサーバー機まで、小型IoTデバイスのすべてをカバーするようになった(出典:アーム)
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 新たに追加した「Corstone-1000」は、Linuxマシン向けの最上位版で、高性能プロセッサであるCortex-A32またはCortex-M53と、補佐チップとして低消費電力のCortex-M0+またはCortex-M3を搭載する。

 今回追加したもう1つの「Corstone-310」は、Cortex-Mシリーズの最新版であるCortex-M85をベースに、オプションでマシンラーニング(機械学習)のアクセラレータを搭載した。なお、Cortex-M85は、スカラー演算性能がCortex-M7と比べて30%向上、ベクトル演算性能はCortex-M55と比べて20%向上している(図3)。

図3:Cortex-M85は、スカラー演算性能がCortex-M7と比べて30%向上、ベクトル演算性能はCortex-M55と比べて20%向上している(出典:アーム)図3:Cortex-M85は、スカラー演算性能がCortex-M7と比べて30%向上、ベクトル演算性能はCortex-M55と比べて20%向上している(出典:アーム)
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