[市場動向]

急成長のクラウドDWH「Snowflake」が日本市場に本腰、先行ユーザーに中外製薬、東京海上日動

東條秀俊社長「“Foundation”を固めたので“Expansion”を目指す」

2022年5月23日(月)五味 明子(ITジャーナリスト/IT Leaders編集委員)

データウェアハウス(DWH)を中核とするデータ活用基盤をクラウドで提供する米スノーフレイク(Snowflake)。2012年の創業以来、従来型のDHWとは一線を画した先進的な設計思想が高く評価されて急速な成長を遂げている。日本法人のスノーフレイクは2022年4月26日に説明会を開き、2023年会計年度(2022年2月~2023年1月)の事業方針を説明。予定する施策と共に日本市場への注力を強調した。

“Foundation”を固めて“Expansion”へ

 スノーフレイク日本法人 代表取締役社長の東條秀俊氏(写真1)は、同社の急成長ぶりをグローバルビジネスの数字をもって説明した。2022年度(2021年2月~2022年1月)の年間製品売上は対前年比で約2倍の11億4050万米ドル(約1450億円)、売上継続率は178%である(図1)。

写真1:スノーフレイク代表取締役社長の東條秀俊氏

 国内事業の成長について東條氏は「グローバルと同じか、それ以上の成長率を示しており、日本がアジア全体における成長のエンジンとなっている」と語っており、2023年度も同じ水準での伸びが期待されるとしている。

図1:Snowflakeのグローバルの業績を示すインフォグラフィック。顧客社数は前年比44%増の5944社で、うち1億ドル超の大型契約が成立した企業は184社と、大口顧客が多い点も特徴だ(出典:スノーフレイク)
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 対前年比100%以上という高水準の成長を2023年度も実現するため、スノーフレイクは国内活動のキーワードに“Expansion(拡大、拡張)”を掲げている。日本でのビジネス成長の“Foundation(基礎)”を固めた前年度は、顧客やパートナーとの関係性強化やコミュニティ形成、西日本営業チームの設立など人員拡大に注力したが、今年度は「その基礎を発展させるExpansionの1年にしていく」(東條氏)という。

 具体的には、「業界向けデータクラウドの拡大」「パートナーエコシステムの拡大」「日本発/独自のプログラム」などの施策が国内事業の柱になるという。以下、それぞれについて詳しく見ていく。

業界向けデータクラウドの拡大

 Snowflakeの急速な成長は、従来型のデータウェアハウス(DWH)とは異なる先進的な設計思想によるところが大きい。中核にあるコンセプトが「データクラウド(Data Cloud)」である。

 データクラウドは、大きく2つのコンポーネントから構成されている。1つはSnowflakeが開発し、DWHやデータサイエンス、データシェアリングなどさまざまな分析機能を備えた「プラットフォーム」。もう1つは、ユーザー企業が作成したデータに加え、データプロバイダーなどによるサードパーティデータ、パブリックなオープンデータ、データを活用するサービス/アプリケーションなどを含む「コンテンツ」である(図2)。

図2:Snowflakeが提唱するデータクラウド。分析サービス群の「プラットフォーム」と、顧客やサードパーティのデータによる「コンテンツ」で構成される。前者はSnowflakeが、後者は顧客企業が互いに連携しながら成長させていく(出典:スノーフレイク)
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 前者の上で後者が展開されるが、スノーフレイク自身によるプラットフォームの機能強化に加え、ユーザー企業発でコンテンツを増やしていくアプローチも、データクラウドの進化には欠かせないという。そうしたコンテンツの拡充を図るために「Snowflake Data Marketplace」というデータのマーケットプレイスを提供しており、ユーザーは自身のアカウントから直接、外部のデータセットにアクセスすることが可能だ。

 つまり、単一のプラットフォーム上から、自社のデータだけでなく外部のデータも取り込んだ横断的な分析が可能になり、より深いインサイトを得られるというわけだ。また、マーケットプレイス上では、ユーザー自身がデータプロバイダーとして自社のデータ資産を他のSnowflakeユーザーに販売することも可能だ。

 このデータクラウドをユーザーにとってさらに使いやすくするために、同社は2021年から業界ごとに最適化したデータクラウドの提供に力を入れている。現在、グローバルでは金融、メディア、リテール(小売)、ヘルスケア/ライフサイエンスの4業界に特化したデータクラウドがリリースされており、国内においてもグローバルの動きに追随して順次、業界向けデータクラウドの事例を発表していくという。

 例えば、2021年9月にリリースされた金融サービスクラウドは、さまざまな規制要件をクリアしたセキュリティ/ガバナンス機能、マルチテナント環境からバーチャルプライベート環境へのデータシェアリング、米S&Pグローバル(S&P Global)など主要金融データプロバイダーのデータセットへのアクセス、ユーザー企業間のデータ共有などのコラボレーションといった業界特化のサービス・機能が提供されている。

 この金融データクラウドに関しては2022年1月に、Snowflakeを採用した最初の国内金融サービス企業の事例として、東京海上日動火災保険の採用が発表されている。他の業界向けデータクラウドについても、2022年に開催予定のイベントなどで順次発表される予定だ(図3)。

図3:Snowflakeが注力する業界向けデータクラウド。国内でもすでに金融では東京海上日動、ヘルスケアでは中外製薬の事例が発表済み(出典:スノーフレイク)
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●Next:全社的なデータ活用基盤を構築した中外製薬の先行事例

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