米ヴイエムウェア(VMware)は2022年9月1日、「VMware vSphere 8」や「VMware vSAN 8」など同社ソフトウェアの新版を発表した。同社のプライベートイベント「VMware Explore 2022」の開催に合わせた発表となった。vSphere 8では、Armプロセッサ搭載ネットワークカードにCPU処理をオフロードする機能を正式に提供する。vSAN 8では、ディスクグループ管理単位を廃止して単一のストレージプール化し、キャッシュとデータ格納の2層層を1階層にするなどアーキテクチャを変更した。いずれの製品も、同社の2023年度第3四半期末となる同年10月28日までに提供する。
ヴイエムウェアの「VMware vSphere 8」は、サーバー仮想化プラットフォームの最新バージョンである。新版のハイライトの1つは、「vSphere Distributed Services Engine」(旧称:Project Monterey)と呼ぶネットワークカード「Data Processing Units(DPU)」で、CPU処理をオフロードする機能を正式に提供すること(関連記事:ヴイエムウェア、ネットワークカードに処理をオフロードする「Project Monterey」を発表)。
同機能により、ハイパーバイザー「VMware ESXi」のうち、サーバー側で実行する必要のない処理(ネットワークやストレージの処理)をDPU上で実行する。これにより、本来CPUで実行すべきコンピュートの処理にCPUのリソースの多くを割けるようにする。米AMDや米NVIDIAがDPUを発表している。
米ヴイエムウェアの社内検証で、DPUを搭載したホストでインメモリデータベースの「Redis」を実行させたところ、トランザクションのスループットが36%向上し、トランザクションのレイテンシが27%減少した。別のシナリオでは、CPUコアを20%削減したDPU搭載ホストが、DPUを搭載していないシステムと同等の性能を達成したという。
vSphere 8では、GPU能力も向上し、vSphere 7と比べて4倍にあたる最大32個のNVIDIA GPUデバイスをパススルー型で使えるようにした。さらに、仮想マシン1台あたりの仮想GPUデバイス数は、vSphere 7の2倍にあたる最大8個になった。
NVMe接続SSDに合わせてアーキテクチャを刷新
一方の「VMware vSAN 8」は、VMware仮想サーバー環境に組み込まれた分散ストレージプラットフォームの最新バージョンである。新版のハイライトの1つは、新たなストレージアーキテクチャ「Express Storage Architecture」(ESA)を採用したこと。これにより、ホストへのストレージ性能やストレージ容量の割り当てが容易になったほか、性能が向上した。
ESAでは、ディスクグループという管理単位を廃止し、すべてのストレージデバイスが単一のストレージプールに属すようにした。これまでキャッシュとデータ格納の2層に分かれていた階層を1階層にして、個々のデバイスを性能の拡張にも容量の拡張にも利用できるようにした。
性能も向上している。vSAN 7まではSATA/SASデバイスで高性能なストレージを実現するように設計していたが、vSAN 8ではNVMe接続型のTLCフラッシュデバイスを前提とした最適化を施した。圧縮効率も高め、vSAN 7と比べて、4KBブロックの圧縮効率が最大で4倍向上しているという。