ヴイエムウェアは2020年10月1日、米VMwareの年次カンファレンス「VMworld 2020」の発表内容の一部として、同社製品の直近の動向を説明した。今後登場する新機能として、ネットワークカードに処理をオフロードする「Project Monterey」を説明した。2020年9月にリリースしたサーバー仮想化基盤ソフトウェアの新版「VMware vSphere 7 Update 1」の強化点も説明した。
サーバー仮想化ソフトウェア「VMware vSphere」の今後の強化点の1つが、ネットワークカードに処理をオフロードする「Project Monterey」である(図1)。Armプロセッサを搭載した「SmartNIC」上で、ハイパーバイザ「ESXi」の機能のうち、サーバー側で実行する必要のない処理(ネットワークやストレージの処理)を実行する。これにより、コンピュート処理にCPUのリソースの多くを割けるようにする。米VMwareは現在、SmartNICの実現に向けて、米Intelや米NVIDIAなど複数の企業と協業している。
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発表会では、2020年9月にリリースしたサーバー仮想化基盤ソフトウェアの新版「VMware vSphere 7 Update 1」の強化点も説明した。2020年4月にリリースしたメジャーバージョン「VMware vSphere 7」の初のアップデートに相当する。強化点のハイライトは、モンスターVMの拡張性、vSANの拡張性、Kubernetesの選択肢の拡大、などである(関連記事:サーバー仮想化基盤の新版「VMware vSphere 7 Update 1」、メモリー24TBのモンスターVMやvSANのSMBファイル共有などを強化)。
1台の仮想サーバーをスケールアップして巨大なサーバーとして利用する“モンスターVM”(仮想マシン)の規模を拡張した(図2)。1つのVMで、メモリー最大24TBまで、CPUは768 vCPUまで拡張できるようにした。これに対して、これまでのモンスターVMの規模は、メモリーが6TBまで、CPUは256 vCPUまでだった。メモリーは4倍に、CPUは2.5倍に向上した。サーバークラスタの拡張性も高めた。1つのクラスタを構成するホスト数の上限を、これまでの64ホストから96ホストへと50%高めた。
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カーネルに含まれる分散ストレージ機能であるvSANも強化した。異なるvSANクラスタ間でストレージを共有できるようになった。他のクラスタのノードに空き領域があった場合に、これを間借りできる。また、ファイルアクセスの手段も拡張し、NFSに加えてSMB(SMB v3/2.1)でアクセスできるようにした。