Sansanは2023年1月13日、2023年第2四半期(同年5月期)の業績を報告するメディア向け説明会を開催した。説明会では同社 取締役/CFOの橋本宗之氏が、同期業績のハイライトのほか、請求書業務を支援するクラウドサービス「Bill One」の機能強化や、インボイス制度をはじめとする請求書管理業務の動向などを説明した。
請求書管理のBill Oneが好調、業績を牽引
Sansanは、2023年第2四半期(5月期)の業績について、売上高は前年同期比23.5%増、ARR (年間固定収入)は前年同期比22.5%増と順調であることをアピールした。特に、請求書管理クラウドサービス「Bill One」が高い成長を続けて売上を牽引しているという(図1)。
Sansanと言えば、同社ビジネスの原点にして主力製品の法人向け名刺管理クラウドサービス「Sansan」が知られるが、同サービスは2022年6月に「営業DXサービス」「営業を強くするデータベース」へとコンセプトを刷新している。
伴う機能強化として、帝国データバンクの企業データベースとの連携機能を強化し、現在では100万件超の企業情報が、Sansanで標準参照できる。同社 取締役/CFOの橋本宗之氏(写真1)によれば、Sansanのコンセプト刷新は実際に売り上げにつながっているという(関連記事:Sansan、画面に「企業DB」タブを新設、帝国データバンクの企業情報を標準で閲覧可能に)。
一方、個人向け名刺管理クラウドサービス「Eight」については、Sansanの入口として無料提供(一部の機能は有料)を続けている。同社は、「赤字額の縮小は進んだものの、業績見通しに対してやや伸び悩む結果となった」ことを明かしている。
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インボイス制度への対応需要が高まる
発表会では、好調なBill Oneの新しい機能や今後のビジネス展開について説明がなされた。
Bill Oneは請求書を受領する側の業務に着目したクラウドサービスで、郵送やメールで送付されてくる請求書への業務を代行する。受領、スキャン、データ化。閲覧、確認、承認といった一連の業務フローがクラウド上で完結し、主に経理部が担う請求書関連業務を効率化する。
Sansanによると、2020年5月のサービス開始以来、2年半で年間収益20億円を超える規模に成長したという。料金モデルは、データ化する請求書の枚数を基にした月額制で、従業員数100人以下の法人向けには、一定の条件を設定した上での無料利用プランも提供する。「サービス開始当初は、小規模企業の契約が中心だったが、現在では多様な業種の中堅、大手企業の獲得が進んでいる」(橋本氏)
Sansanはユーザーニーズに応じてBill Oneの機能強化を継続的に行っている。現行バージョンでは、請求書の発行機能も備えている(関連記事:Sansan、請求書受領クラウド「Bill One」に電子請求書の発行・送付機能を順次追加)。
Sansanは今後、Bill Oneに、インボイス制度をはじめとしたさまざまな法改正に対応した機能の追加を予定している(図2)。
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周知のように、国内では法改正などを含め、官民を挙げての請求書の電子化が促進され、企業には新たな請求書業務対応が求められている。2022年1月施行の改正電子帳簿保存法による電子で受け取った請求書のデータ保存の義務化に加え、2023年10月導入予定のインボイス制度の下では適格請求書の確認などの新たな業務が発生する。橋本氏は、「デジタルインボイスの標準仕様として採用されたPeppol(ペポル)形式での取引が一般化するまでは、紙やPDFの請求書とデジタルインボイスが混在した請求書業務の煩雑化も予想される」と指摘した。
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