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富士通、Web3要素をまとめた無料のデータ流通基盤「Fujitsu Web3 Acceleration Platform」
2023年2月6日(月)日川 佳三（IT Leaders編集部）
富士通は2023年2月6日、データ流通関連サービス群「Fujitsu Web3 Acceleration Platform」を発表した。ブロックチェーン技術を用いたデータ流通基盤「Data e-TRUST」や流通させるデータを生成するためのHPCサービスなど、同社がこれまでに発表・提供してきた関連サービス群を“Web3”のキーワードでまとめている。Data e-TRUSTは同年3月から提供する。これらの基盤サービスはいずれも無料で利用できる。
富士通の「Fujitsu Web3 Acceleration Platform」は、データを安全に流通させるためのサービス群である。ブロックチェーン技術を用いたデータ流通基盤「Data e-TRUST」や流通させるデータを生成するためのHPCサービス/デジタルアニーラなど、同社がこれまでに発表・提供してきた関連サービス群をWeb3の要素技術としてまとめた形である。これらの基盤サービスは、いずれも無料で利用できる（図1）。
図1：「Fujitsu Web3 Acceleration Platform」の概要と構成要素（出典：富士通）拡大画像表示
2023年3月に、中核サービスとして、ブロックチェーン技術を用いたデータ流通基盤「Data e-TRUST」を提供開始する（表1）。異なるシステムやサービス間で安全にデータを流通させて活用するための機能をクラウド型のAPIサービスとして提供する（関連記事：富士通、データ流通API群「Data e-TRUST」を発表、長瀬産業が自社のサプライチェーンに先行導入）。
| サービス名 | 技術名 | 提供時期 | |
|---|---|---|---|
| CaaS | Data e-Trust | IDYX |
国内：2023年3月 |
| Chain Data Lineage | |||
| CaaS HPC | - |
国内：2022年10月（提供済み） |
|
| CaaS Digital Annealer | - | ||
| 研究試作段階の機能 | - | 透過的トラスト |
国内：2023年度中 |
| - | コネクションチェーン | ||
Data e-TRUSTを支える要素技術の1つが、ブロックチェーンを活用した自己主権型のID流通を実現する技術「IDYX（IDentitY eXchange）」である。デジタルIDなどの自身の情報を自身で管理し、みずからの意思で、改竄不能な形で安全に流通させて活用できるようにする仕組みを実現する（関連記事：JCB、みずほ銀行、富士通、エンドユーザーのID情報を相互に運用する実証実験を開始）。
Data e-TRUSTでは、データの出所や加工履歴といったデータの成り立ちを示す来歴情報を企業をまたがって確認できるようにする技術「Chain Data Lineage」を備えている。ブロックチェーンの取引履歴に、各社の加工履歴を統合して格納する仕組みである。企業をまたがって個人データの同意状況を管理する機能も持つ。「診療データを創薬メーカーに渡して新薬を開発する」といった使い方が可能である（関連記事：富士通研究所、分散ストレージ上で大量データを高速処理する技術を開発）。
このほか、研究試作段階の機能として、透過的トラスト技術（異なるサービスを利用する際にユーザーが意識せずに透過的なデジタル署名の付与・検証を行うことを補助する技術）と、コネクションチェーン（異なるブロックチェーンやエコシステム間を安全に相互接続する技術）を追加する予定である（関連記事：IHIと富士通、CO2削減量をブロックチェーンでトークン化して市場に流通させるシステムを構築）。
