スーパーマーケットチェーン運営のマックスバリュ東海(本社:静岡県浜松市)は、惣菜製造工場の勤務シフトを量子コンピュータで作成する実証を行った。従業員だけでなく、製造ラインで稼働するロボットも対象に勤務シフトを作成した。人とロボットが協働する工場において、人とロボットそれぞれのスキルや能力、役割を考慮して作業計画を立てている。量子コンピュータクラウドサービス「MAGELLAN BLOCKS」を提供するグルーヴノーツが2023年3月22日に発表した。
イオングループのスーパーマーケットチェーンを運営するマックスバリュ東海は、惣菜製造工場の勤務シフトを量子コンピュータで作成する実証を行った。
量子コンピュータによる勤務シフトの作成は、一般社団法人日本惣菜協会と、同協会の会員である惣菜製造企業4社が取り組んでいる。マックスバリュ東海(静岡県浜松市)、グルメデリカ(埼玉県所沢市)、八葉水産(宮城県気仙沼市)、イケウチ(石川県金沢市)である。同協会と量子コンピュータ関連ビジネスを提供するグルーヴノーツが連携して、ロボットフレンドリー(ロボフレ)な環境構築に向けた取り組みを進めてきた。
「惣菜の製造では、対象物が不定形であることや、多品種小ロットであることから、ロボットの導入が難しい。また、ロボット導入の際には、既存の業務プロセスや施設環境などを見直す必要もある。そのうえで、人とロボットそれぞれの能力や役割を考慮して作業計画を立てる必要がある」(グルーヴノーツ)
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今回のマックスバリュ東海の実証は、従業員だけでなく、製造ライン上のロボットも含めた勤務シフトを量子コンピュータで作成するという試みである(図1)。同社はこれまでも、ロボットを考慮しない従業員だけの勤務シフトを量子コンピュータで作成してきた(関連記事:マックスバリュ東海とグルメデリカ、勤務シフト作成に量子コンピュータを活用)。今回の実証は、実運用には至っていないが、問題のない勤務シフトを作成できたとしている。
組み合わせ最適化問題を高速に解く技術(量子アニーリング、イジングマシン)として、グルーヴノーツの量子コンピュータクラウドサービス「MAGELLAN BLOCKS」を利用した。稼働環境としての量子コンピュータに、カナダD-Wave Systemsの「D-Wave 2000Q」や、東芝デジタルソリューションズ(TDSL)のソフトウェア「シミュレーテッド分岐マシン(Simulated Bifurcation Machine:SBM)」を利用している(関連記事:グルーヴノーツ、組み合わせ最適化問題を解くクラウドサービスを強化、イジングマシンを拡充)。