レッドハットは2023年6月6日、説明会を開き、同年5月に開催したプライベートイベント「Red Hat Summit 2023」での発表内容について、いくつかのトピックを説明した。例えば、Ansibleでは、生成AIを使ってIaCのコードを自動生成できるようになるほか、外部イベントをトリガーにIaCコードを実行するイベント駆動機能を提供する。また、Red Hat Enterprise Linuxでは、マイナーリリースに対するサポート期間を従来の最長2年間から最長4年間へと拡大するオプションを用意するほか、CentOS 7からRHEL7への移行を支援するプログラムを用意する。
レッドハットは、2023年5月に開催したプライベートイベント「Red Hat Summit 2023」での発表内容について、いくつかのトピックを説明した。
Ansibleは生成AIでIaCコードを生成可能に
システム/アプリケーションの構成をコードベースで管理可能なIaCツールであるAnsibleでは、生成AIを使ってIaCのコードを自動生成する機能「Ansible Lightspeed」を用意する(図1)。2023年後半に技術プレビューとして提供開始する。AIとして「IBM Watson Code Assistant」を利用する。
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Ansible Lightspeedは、エディタのプラグインとして動作する。Ansibleにやらせたいシステム管理の内容を人間の言葉で指示すると、逐次コードを自動で生成する。例えば、「RHEL9にnginxとfirewalldをインストールする」といった具合である。さらに、生成したコードの後に次の指示内容を書いていくことで、すでに指示済みの指示内容を考慮した形でコードを生成する。
例えば、HTTPサーバーのnginxとファイアウォールのfirewalldをインストールした後の指示として、あらかじめ作成済みの設定テンプレート(サーバープロセスのコンフィグファイル)を配布する指示や、ネットワークのポートを開ける指示、サービスを起動する指示などが可能である。こうした指示だけでインストールから設定・起動までのコード全体を生成可能である。
Ansibleではまた、他システムが発信するイベント通知をトリガーにIaCコードを実行する機能「Event-Driven Ansible」を用意する(図2)。近日中にリリースする次期バージョン「Red Hat Ansible Automation Platform 2.4」から提供する。
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Event-Driven Ansibleにより、Ansibleを使うシステム構成チームとITシステムを監視する監視チームとの垣根がなくなり、監視結果を基にしたアクションをより容易に起こせるようになるとしている。監視イベントの通知を受信してアクションにつなげる機能を、外部プログラムを別途用意することなく、Ansibleのミドルウェア群の内部で標準で提供する。
REHLは長期サポートを強化
Linux OSのRed Hat Enterprise Linux(RHEL)では、およそ半年に1回のマイナーバージョンのリリースを対象としたサポート期間を、従来の最長2年間から最長4年間へと拡大するオプション「Enhanced Extended Update Service」を用意する(図3)。最新バージョンのRHEL9を対象に、2023年第3四半期からアドオンオプションとして追加購入可能である。
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RHELではまた、2024年6月30日にサポートが切れるCentOS 7からRHELへの移行を支援するプログラム「Red Hat Enterprise Linux for Third Party Migration」を用意する。これまでも提供してきた複数のサービスをまとめて提供する。例えば、RHELの割引、RHEL 7に対して2024年6月30日以降もセキュリティパッチを提供する「RHEL 7 Extended Extended Life-cycle Support」の提供、CentOS7からRHEL7への自動変換ツール「Convert2RHEL」の提供、などである。
RHELではさらに、導入/キッティングイメージをブループリント化するツール「Image Builder」を用意する。
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