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[市場動向]

AIの急速な進展はデータアナリティクスの世界に何をもたらすか─日本テラデータ

2023年9月28日(木)神 幸葉(IT Leaders編集部)

メディアなどで生成AIが話題に上らない日がないが、企業が以前から取り組むデータアナリティクスの観点では、生成AIをはじめとするAIの急速な進展をどう捉えたらよいか。日本テラデータは2023年8月に開催した報道向け説明会で、提供側としての同社の考え方を、主力の「Teradata Vantage」の機能強化点をアピールしつつ説明した。

生成AIをマネージして有効活用するために

 「世界の経営層のおよそ8割が生成AIを自社のサービスや業務に取り入れることに興味を示している。一方で、86%がデータやモデルのガバナンス策定の必要性を認識し、66%が、偏見あるいは誤情報などのリスクに懸念を持っている」

 上記は、米テラデータ(Teradata)が米IDCに委託して実施した、生成AIの可能性に関するグローバル調査結果である。説明会の冒頭、日本テラデータ 代表取締役社長の髙橋倫二氏(写真1)は、この調査結果を踏まえて「生成AIをしっかりマネージして、有効に活用する方法を確立することが取り組みのカギになる」と述べた。

写真1:日本テラデータ 代表取締役社長の髙橋倫二氏

 テラデータは、データアナリティクス分野で世界の大手企業を40年にわたって支援してきた。髙橋氏は、「Descriptive(記述的:何が起きたか」「Diagnostic(診断的:なぜ起きたか)」「Predictive(予測的:何が起きるか)」「Prescriptive(処方的:何をすべきか)」というデータ活用の4段階を挙げてこう説明した。

 「進化を続けるAIが、データ活用を推進する起爆剤 となる可能性を秘めている。『信頼できるAI』を運用するためのデータ活用基盤の構築が重要である」(図1)。

図1:生成AIとデータ活用(出典:日本テラデータ)
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 同社主力のデータアナリティクスプラットフォーム「Teradata VantageCloud」では、AI/ML(マシンラーニング)の活用を前提とし、「Azure Machine Learning」や「Amazon SageMaker」といった主要なAI/MLツールとのシームレスなサービス連携に注力している。

VantageCloudが追求する5つの要件

 続けて、日本テラデータ 執行役員 テクノロジーセールス事業部 事業部長の小永井崇氏(写真2)が直近の製品アップデートについて説明した。

写真2:日本テラデータ 執行役員 テクノロジーセールス事業部 事業部長の小永井崇氏

 「Vantageは、顧客企業が進めるデジタルトランスフォーメーション(DX)やデータ活用基盤のモダナイゼーションを支えるような機能に注力している」と同氏。製品戦略は次の5つの要件からなるという。

●データサイエンティスト/開発者が求める新たな分析ワークロードへの対応
●データレイクとデータウェアハウス(DWH)の長所を組み合わせた、データ活用基盤のモダナイゼーション
●アジリティに不可欠なユーザーエクスペリエンス
●多種多様で、かつ増加し続けるデータの管理・アクセス
●ガバナンスの欠如がもたらす予算超過リスクの低減

 小永井氏は、これらに基づいたVantageの機能強化点として、まず、モダンデータスタック(データアナリティクスのためのツールセット)との連携を挙げた(図2)。多くのデータサイエンティストから支持されている「MuleSoft」「Airbyte」「DBT Labs」などとの連携強化に注力しているという。

図2:モダンデータスタックとの連携(出典:日本テラデータ)
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 次に、「コネクテッドデータストア」というコンセプトの下でのデータレイク/DWHの統合と、ストレージコストの最適化を図る取り組みを挙げた(図3)。増加し続けるデータへの迅速なアクセスを提供し、データの種類、ボリューム、アクセス頻度など、それぞれで求められるレベルに応じて最適なデータスタックを使い分けられるようにするという。

図3:Teradata Vantageコネクテッド・データストアの概要(出典:日本テラデータ)
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 3つ目は、ユーザーエクスペリエンス向上のためのUI「VantageCloud Lake Console」。各種リソースの利用状況の一元管理・監視が行え、クラウド環境のコスト予測が立てにくいという課題に応える。

 小永井氏は、テラデータによる、AIを用いたデータカタログソリューションを提供する米ステマテクノロジーズ(Stemma Technologies)の買収にも触れた。今後、同社の技術がVantageに実装され、データカタログ機能の強化が図られる予定だ。

●Next:In-Databaseアナリティクス」の仕組み

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