今やデータ活用はすべての企業の経営課題となっており、AI などの最新技術も積極的に導入しながら、多くの企業でデータ分析のさらなる高度化に向けた取り組みが進んでいる。しかし、現場の社員が自ら必要な時に必要なデータを収集し、データ活用を行う「データの民主化」を実現していくにあたっては、数々の障壁が立ち塞がっている。データ エンジニアの不足が叫ばれる中で、複数のシステムからデータを抽出・収集するだけでなく、異なる形式のデータを変換・加工といった煩雑な事前作業を抑制し、すぐに現場の担当者がデータ活用を行えるようにするには、どのような手立てを講じていけばよいのか。また、昨今注目を集める生成 AI について、今後、企業はどのように活用していけばよいのか。データ運用の効率化とさらなるデータ活用の高度化のためのヒントを探る。
提供:グーグル・クラウド・ジャパン合同会社
様々な基盤、サービスに分散するデータをいかに連携させるか
様々な IT 基盤上に存在するデータを組み合わせ、現場のユーザー自らがそれを活用したデータ分析を行えるような仕組みを実現していくために、企業はどのような施策を講じればいいのか。さらにその実現にあたっては、運用負荷の抑制という課題も同時に解消しなければならない。
中谷氏は、「データ活用のサイクルに着目すると、分析のための事前準備として、複数のシステムからのデータの抽出・集約にはじまり、異なる形式をもったデータを連携させるため特定のフォーマットに合わせたり、欠損値や表記ゆれなどを修正したりする変換・加工、といった煩雑な作業が発生します。それらの前処理のオーバヘッドが大きいと、データ エンジニアの負担増はもとより、本来の目的であるデータ分析にかかるまでの時間も要するようになってしまいます」と語る。
このような課題を解消するものが、スリーシェイクが提供する「Reckoner(レコナー)」だ(図1)。Reckoner は、オンプレミスからクラウド サービスまで、さまざまなデータを連携させることが可能な、クラウド型 ETL /データ パイプライン サービスである。
拡大画像表示
その特長の 1 つが、ノーコード型のツールであるためプログラミングが不要であり、直感的な操作により、誰でもデータの連携が容易に行えることだ。仕様策定から実装、テスト、基盤構築、運用まで、通常では非常に煩雑なデータ連携を、すべて GUI の画面で完結することができる。
「コーディングを行うことなく、ブロックを繋げるような形で設定したり操作したりすることが可能であるため、データ エンジニアでなくてもすぐに利用することができます。これにより、現場主導のデータ活用を促進し、データの民主化を加速させられるようになります」(手塚氏)
このほかにも、SQL を記述することなく、テキストの暗号化や、値が無いフィールドの除外・抽出、データ表記揺れの解消や粒度の調整、データ型やカラム名の統一といったデータ分析のための前処理も行ってくれることも大きな優位性だ。
2 つ目の特長が、クラウド サービスとして提供されるためサーバーなどの設備投資が不要であり、初期コストを抑えるとともに短期間での導入が可能であることだ。スモール スタートで導入し、その効果を見定めながら活用範囲を広げていくこともできる。
そして 3 つ目の特長が、市場で展開されている多種多様な SaaS に対応していることだ。Reckoner は現時点で 100 以上の SaaS に対応。「これにより、例えば BigQuery にデータ分析環境を集約したい際にも、様々な SaaS からデータを収集し、そのうえで必要な加工処理を自動で行い、連携させることを可能としています」と手塚氏は語る(図2)。取扱い可能なデータについても現状では構造化データが主となるが、今後、非構造化データへの対応も進めていくという。
拡大画像表示
このような優れた機能群が評価され、Reckoner は様々な企業で導入され、様々なデータ分析の場面で活用が広がっている。手塚氏は、「マーケティングやセールス分析はもちろん、最近では業務効率化の一貫としてバック オフィス業務のデータ分析や自動化でも活用が進んでいます。例えば、『人的資本経営の一貫として、様々な人事データの分析を基にリソースを最適化したい』といったニーズから、人事サービス系 SaaS と他の人事系データの連携を行うために Reckoner を導入した企業も増えています」と説明する。
Google Cloud Marketplace 経由でも
Reckoner を購入可能
この Reckoner であるが、2023 年 6 月から Google Cloud のオンラインのソリューション カタログである「Google Cloud Marketplace」上での提供も開始されている。これにより、Google Cloud を利用する国内外の企業・組織は、Google Cloud Marketplace 上で Reckoner を購入することが可能だ。
Reckoner をはじめとするサード パーティの製品/サービスを Google Cloud Marketplace を通じて導入するメリットは、自社にとって必要なソリューションの検索から購入までを一貫して Google Cloud Marketplace で完結できるため、調達に要する時間を短縮可能なことにある。加えて、サードパーティの製品/サービスの費用についても Google Cloud から一括で請求されるため、支払処理を一本化できることもメリットだ。
「サービス提供側のメリットとしても、Google Cloud Marketplace を活用することで Google Cloud の販売パートナーに再販を行ってもらうなど、国内だけでなく海外も含めた販売網を迅速に拡大できることがあります」(手塚氏)
なお、スリーシェイクでは、同社が開発・販売するクラウド型 Web セキュリティ診断ツール「Securify」についても、Google Cloud Marketplace 上での販売を展開している。
生成 AI に関するソリューションを強化し
さらなる企業のデータ活用を支援
Goolge Cloud、スリーシェイクの両社は企業・組織のさらなるデータ活用を支援していくための、様々な取り組みを進めている。中でも近年特に注力している分野が、生成 AI を活用したデータ分析の高度化だ。
中谷氏は、「Google Cloud では『Duet AI』と呼ばれる、生成 AI の機能をデータ分析自体に組み込むことにより、より簡単に、より迅速にデータ分析を行えるようにするための支援を行っています。Duet AI を用いることで、例えば、ユーザーが自然言語を利用してクエリやグラフ、レポート、ダッシュボードを生成できるようになります」と説明する。
また、生成 AI を活用したドキュメント検索や FAQ 対応のエクスペリエンスを最速で構築するための機能である、「Vertex AI Search and Conversation」の提供も開始しており、日本語対応も順次進んでいるという。
さらに Google Cloud では、「AI レイクハウス」という新たなコンセプトのもと、データレイクとデータウェアハウスを 1 つのプラットフォームに統合、構造化/非構造化データを問わず、あらゆるデータを保持・保存・処理するとともに、AI で容易に分析可能とするための様々なサービスを提供していく計画だ。
一方、システム インテグレーターの立場からスリーシェイクも企業・組織の AI 活用を支援している。そのためのサービスの 1 つが「生成 AI スターター パック for Google Cloud」だ。同パックは、Google が提供する次世代言語モデル PaLM 2 を、自社の業務改善や新サービスで活用するための環境構築支援サービスである。「これまでもスリーシェイクでは Google Cloud の導入支援や SRE 支援を通じて企業のデータ活用やシステムの高度化をサポートしてきました。そこで培った知見や経験を活かし、今回、生成 AI スターターパック for Google Cloud の提供を開始しました。チャットベースで動作する環境の構築をはじめ、生成 AI サービス開発のための LangChain ライブラリを活用した各種のAIモデルの統合、さらには Reckoner と生成 AI を連携させたデータ活用など、様々な支援を提供していきます」と手塚氏は強調する。
SaaS 間でのシームレスなデータ連携、さらには生成 AI を活用したより高度なデータ分析など、企業のデータ活用は、次のフェーズへ向かおうとしているようだ。そうしたデータ活用の進化を Google Cloud と、スリーシェイクが力強くサポートしていく。
●お問合せ先
グーグル・クラウド・ジャパン合同会社
https://cloud.google.com/?hl=ja
株式会社スリーシェイク
https://3-shake.com/
- > 前へ
- 1
- 2