東北大学大学院(本部:宮城県仙台市)生命科学研究科の近藤研究室は、「環境DNA調査」のフィールド調査記録を手書きからスマートフォン入力に切り替えた。記録アプリをアステリアのノーコード開発ツール「Platio」で作成し、データ登録時間を約60%短縮した。アステリアが2024年2月7日に発表した。
東北大学大学院 生命科学研究科の近藤研究室(近藤倫生教授)は、バケツ1杯の水に含まれる遺伝子情報から生息する生物の種類・分布を判別する「環境DNA調査」のフィールド調査記録を手書きからスマートフォン入力に切り替えた(写真1)。
写真1:これまでフィールド調査記録に使っていた用紙と、採用したスマホ入力画面(出典:アステリア、キーウェアソリューションズ)拡大画像表示
環境DNA調査では、市民ボランティアなどの調査員が全国各地の海・川の水を採取する。これまで、採水日時、位置情報(経緯度)、天候などを手書きで記載しながらフィールド調査を行ってきた。屋外での手書き入力なのでケタ数の多い経緯度などの記録では記載ミスが多発したほか、紙の調査票が汚れるなど、アナログならではの課題を抱えていた。記載した情報を改めてPCに入力しなくてはならないなど、後工程でのデータ登録作業も非効率だったという。
そこで、調査結果をスマートフォンで記録するモバイルアプリを、アステリアのノーコード開発ツール「Platio(プラティオ)」で作成した。その際、記録アプリのプロトタイプ開発をキーウェアソリューションズが支援した。
記録アプリによって手書きの記録をデジタル化し、登録作業は100件あたりで約2.5時間短縮できた。また、調査データをCSVファイルで一括して取り込めるようになったという。
記録アプリでは、スマホのGPS機能を活用して位置情報記録を自動化している。これまで全体の20%のデータで必要だった経緯度の転記ミスへの修正がなくなったという。また、僻地の調査において、通信圏外でも接続が回復したタイミングでデータを自動アップロードする機能を活用している。
「作成した記録アプリを小学生から高齢者まで150人以上の調査員が利用した。以前多発していた経緯度の誤記や入力ミスがほぼなくなり、データ登録作業時間も一気に短くなった。自身でアプリをカスタマイズし改善を続けている」(近藤研究室)
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