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[事例ニュース]

SBI証券、国内株式のオンライン取引システムをAWSに移行、取引金額は1日2兆円超

システム拡張のリードタイムをオンプレミスの半分に

2024年4月23日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)

SBI証券(本社:東京都港区)は2024年4月23日、国内株式のオンライン取引システムをオンプレミスからAmazon Web Services(AWS)に移行したプロジェクトの詳細を発表した。取引数の急増に合わせたシステムの拡張をオンプレミスより短期間で実施できることからクラウド移行に取り組んだ。現在、1日のアクセスは1億件、取引は360万件、取引金額は最大で2兆円を超える。移行プロジェクトは2022年末に開始し、2023年4月に移行が完了。2026年を目途に他の業務システムもAWSに順次移行する。

 SBIホールディングス傘下のSBI証券では、総合口座数や取引数が急激に成長している。口座数は2019年6月末時点で471万口座、国内株式の売買手数料を無料化した2023年9月末時点では1106万口座に増えていた。2024年1月に新しいNISA(少額投資非課税制度)がスタートしたこともあり、2024年2月5日には1200万口座を超えた。現在、1日のアクセスは1億件、取引は360万件、取引金額は最大で2兆円を超えている。

図1:SBI証券がAWSに移行した、国内株式オンライン取引システムの構成(出典:SBI証券)
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 取引数の急増に合わせ、システムをより短期間に拡張できるように、これまでオンプレミスで稼働していた国内株式のオンライン取引システムを、Amazon Web Services(AWS)に移行した。移行プロジェクトは2022年末に開始し、2023年4月に移行が完了。「システムの拡張に要する時間が半分になった」(同社)という(図1)。

 例えば、計画やテストなどを含め、従来であれば1年を要した移行作業や拡張作業が半年で終えられるようになった。「クラウドはオンプレミスよりもシステム拡張時のリードタイムが短い。より小さな増強を短期に実現でき、本来必要ではない過剰なリソースをサイジングして投資がかさむといったことを避けられる」(SBI証券、写真1)。

 システムの拡張や配備を高速化する仕組みとして、サーバーやソフトウェアなどのシステム構成をコードで定義して配備可能なIaC(Infrastructure as Code)開発キット「AWS Cloud Development Kit(AWS CDK)」を採用。オンプレミス環境でもIaCベースで運用しているが、クラウドのIaCは、OSやサーバーなどのインフラ部分を含めてコードベースで配備できる点でオンプレミスよりもすぐれていると評価する。

 AWSに移行したシステムは、基本的に作り替えておらず、インフラを載せ替えた形になる。2026年を目途に他の業務システムもAWSに順次移行する。アプリケーションは「Amazon EC2」の仮想サーバーインスタンスで動かし、データベースには「Amazon RDS」を使っている。可用性については、東京リージョンにある複数のAZ(アベイラビリティゾーン)を活用してシステムを冗長化している。

 また、負荷テストサービスの「AWS Distributed Load Testing」で、取引の需要が急増した際の性能を検証している。合わせて、意図的に障害を発生させてシステムの耐障害性を確認するカオスエンジニアリングの「AWS Fault Injection Service」を利用している。

写真1:SBI証券 常務取締役 兼 SBIシンプレクス・ソリューションズ 代表取締役社長 助間考三氏(中央)、SBI証券 執行役員 コーポレートIT部 兼 SBIシンプレクス・ソリューションズ 執行役員アーキテクト推進部 韓基炯氏(右)、アマゾン ウェブ サービス ジャパン 金融事業開発本部 本部長 飯田哲夫氏(左)
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