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次期バージョン「HULFT10」で採用する新データ圧縮方式「Zstandard」の先行体験版─セゾンテクノロジー
2024年7月2日(火)IT Leaders編集部
セゾンテクノロジーは2024年7月1日、ファイル転送ミドルウェア「HULFT」の次期バージョン「HULFT10」に実装する新たなデータ圧縮方式「Zstandard」の先行体験版を提供開始した。HULFT8ユーザーは、HULFT10(Windows/Linux版)の正式リリース前に転送速度の向上を体験できる。現行のHULFT8をベースにしており、Zstandard圧縮以外の機能やUIはHULFT8と同一である。
セゾンテクノロジーの「HULFT」は、基幹システムのデータ連携用途に向くファイル転送ミドルウェアである。幅広い稼働環境に対応しており、PC(Windows/Linux)、UNIX、オフコン(IBM i)、メインフレーム(IBM zOS/zLinux、富士通MSP/XSP)、無停止型サーバー(HPE NonStop)で動作する。HULFTが動作するこれら異機種同士をTCP/IPファイル転送によって連携させられる。異機種間でのデータ送受に必要な文字コード変換やデータ形式変換の機能を備える。
2024年2月に、10年ぶりのメジャーバージョンアップとなる「HULFT10」を発表し、Amazon ECSで動作するコンテナ版「HULFT10 for Container Services」の提供を開始している。Windows版やLinux版などのサーバーOS版は2024年下半期のリリースを予定している(関連記事:10年ぶりメジャーバージョンアップのファイル転送ミドルウェア「HULFT10」、コンテナ/CLI版を追加)。
HULFT10ではファイル転送プロトコルを刷新している。VPNを用いず、インターネットを介したHULFT同士での直接通信が可能で、HTTPSのようにTLSを使って通信経路を暗号化する。また、双方向通信に加えて、プル型のファイル受信が可能になった。クライアントからサーバーにつど接続してファイルを転送する仕組みである。
加えて、データ転送効率向上のために、対応するデータ圧縮方式を追加している。HULFT8の圧縮アルゴリズム「Deflate」に加えて、「Zstandard」を利用できる。セゾンテクノロジーが計測した参考値では、HULFT10同士で転送処理を実行した場合、FTPとの比較で約8倍、HULFT8との比較で約1.4倍転送性能が向上している(図1)。
今回、HULFT8ユーザーに向けて、Zstandard圧縮方式を試用できる先行体験版を提供する。HULFT8にZstandardを追加したもので、それ以外の機能やUIはHULFT8と同一である。ユーザーは、HULFT10(Windows/Linux版)の正式リリース前に転送速度の向上を体験することができる。
Zstandardは、可逆圧縮アルゴリズム「LZ4」の開発者で、米Meta/Facebookで活動するヤン・コレット(Yann Collet)氏が開発した可逆圧縮アルゴリズム。2016年8月にBSDライセンスでオープンソースソフトウェア(OSS)として公開されている。HULFT8やZip、gzip、zlibなどが採用している圧縮アルゴリズムであるDeflateより圧縮の展開速度や効率にすぐれているという。
先行体験版は、HULFTユーザー専用ポータル「myHULFT」から無料で入手できる。ダウンロードファイルにはHULFT10の新機能などの情報が記載された資料が含まれる。利用中に不明点が生じたら、製品版と同様、テクニカルサポートに問い合わせが可能である。