[木内里美の是正勧告]

最近の選挙から民主主義とデジタル社会を考察する

2024年12月4日(水)木内 里美(オラン 代表取締役社長)

2024年10月~11月に行われた衆議院選挙、米大統領選挙、兵庫県知事選は、既存メディアやSNSの影響力が問われた選挙となった。いずれの選挙結果にもSNSをはじめとするインターネットの影響力が顕著に現れ、特に若年層は情報収集をネットに頼っている。デジタル化により情報過多となり、真偽を見極めるのが一層困難になる中、ネットリテラシーが強く問われている。

 2024年10月~11月に大きな政治イベントがあった。日本では衆議院選挙があり、自民党は少数与党となり一強時代が終焉を迎えた。米国は大統領選挙で沸いた。共和と民主の候補が拮抗して大いに盛り上がったが、結果はトランプ氏の圧勝だった。国政とは違うが、兵庫県では、百条委員会の結論が出ないまま知事に対する不信任決議案が議会の全会一致で可決。しかし出直し選挙で前知事が再選されるに至った。

 いずれの選挙にも共通し、議論を呼んだのが既存メディアやYouTube、Xなどのソーシャルメディアのあり方、使われ方だった。国の政治や行政にどう民意が反映されるのかは、国民にとって大きな関心事である。真偽不明な情報がメディアによって増幅され、選挙に影響を及ぼすことは好ましいとは言えない。一部では「民主主義が崩壊の危機に瀕している」との声も上がった。

 今回はこの問題を考えたい。まずは民主主義についてだ。

改めて民主主義を考えてみる

 選挙は民主主義に欠かせない象徴的な行為であるが、民主主義は決して固定的な概念ではない。そもそも民主主義とは何か。改めて考えてみると、そう簡単ではないことが分かる。共通の概念や認識はあるが、確たる民主主義の定義がないのだ。

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