TISは2025年2月6日、ITインフラのSIサービス「デジタル基盤オファリングサービス」に、高可用性システムを構築する「高レジリエンスオプション」を追加し、2025年春頃から提供すると発表した。MySQL互換の分散型データベース「TiDB」などのOSSを組み合わせることで、安価なサーバーを基盤にしながら高可用性と高スループットを確保するとしている。料金は個別見積もり。
TISの「デジタル基盤オファリングサービス」は、ITシステムの稼働基盤を構築するSIサービスである。セキュリティに留意したプライベートクラウド基盤、API基盤構築、無停止型サーバー「HPE Integrity NonStop」を従量課金制で提供するPaaSなどのメニューを用意している。
今回、高可用性システムを構築する「高レジリエンスオプション」を追加した。クラウドへの移行が難しいミッションクリティカルシステムのクラウドへの移行を支援する。システム稼働率や性能に課題を抱えるユーザー企業や、レガシーな決済システムでの運用に課題を抱えるサービス事業者などに向けて提供する(図1)。
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オープンソースソフトウェア(OSS)を組み合わせて、安価なサーバーを基盤にしながらも高可用性と高スループットを確保するとしている。TISが検証済みのOSSスタックを使い、ミッションクリティカルシステムが求める可用性と処理性能を備える基盤をAmazon Web Services(AWS)上に構築する。広域障害に備えるBCP/DRとして、マルチリージョン構成で冗長化したAWS環境を利用する。
OSSスタックのうち、データベースには、米PingCAPが提供する、MySQL互換の高可用・分散データベース「TiDB(タイデービー)Cloud」を採用する。TiDBでは、データを複数のノードに自動的にレプリケーションして可用性を確保する(関連記事:分散SQLデータベース「TiDB Cloud」に、自然言語からSQLを自動生成する機能)。
TISが設定した模擬的な障害シナリオの検証で、サービス稼働率99.9999%を達成したという。サービスを停止することなく、アプリケーションやデータベースのメンテナンスやキャパシティ調整が可能としている(図2)。
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サービスメニューとして、高可用性システムの導入を総合的に支援するSIサービス「高レジリエンスシステム導入支援」と、システム基盤(アプリケーションサーバー用リソースとデータベースサービス)を提供する。
システム基盤については、マルチテナント型データベースの「データベース共用型プラットフォーム」と、個社専用データベースの「データベース専用型プラットフォーム」が選べる。データベースは、非機能要件に応じて、TISの運用環境またはTiDB Cloudから選択する。
合わせて、高可用性を実現するための方式設計のサンプルや、障害やメンテナンスによる影響を最小限に抑えるためのアプリケーション実装ガイドラインなど、実装を支援するコンテンツを提供する。