共栄火災海上保険(本社:東京都港区)は2025年3月27日、基幹業務システムをメインフレームからパブリッククラウドに移行するプロジェクトを同年4月に開始すると発表した。日立製作所がSIを担い、2030年度中の稼働開始を予定している。基幹システムの刷新により、保険商品・サービスの開発・提供に伴うシステム開発の効率化を目指す。
共栄火災海上保険は、1942(昭和17)年に農山漁村への保険普及を目的に産業組合によって設立された損害保険会社である。大手3メガ損保(東京海上日動、損保ジャパン、三井住友海上)に属さない独立系の中堅損保で、「共存同栄の精神」を経営理念に掲げて、地域社会に根ざした事業を展開している。
同社は2025年4月、基幹業務システムをメインフレームからパブリッククラウドに移行するプロジェクトを開始する。日立製作所がSIを担い、2030年度中の稼働開始を予定している。基幹システムの刷新により、保険商品・サービスの開発・提供に伴うシステム開発の効率化を目指す。
事前検証フェーズでは、日立の現行資産可視化サービス「Application Lifecycle Management(ALM)サービス」などを用いて、メインフレーム上の現行プログラムの棚卸しを行い、移行対象のプログラムを整理・スリム化して移行しやすくする(図1)。

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日立は、保険・共済業界専門のモダナイゼーション専門チームを2024年度に発足している。専門チーム主導の下で共栄火災海上保険のプロジェクトを推進する。「移行時のアプリケーションの変更を最小限に抑え、短期間で確実に移行する」(日立)としている。
移行先のシステムは、日立のオープン系ミドルウェアを用いて構築する。トランザクション処理(TP)モニター「OpenTP1」、RDBMS「HiRDB」、運用管理ツール「JP1」、Javaアプリケーションサーバーを中核としたミドルウェア群「Cosminexus」などを利用する。
また、移行にあたって発生する情報の整理などに生成AIを活用する。プロジェクトは大規模かつ長期間にわたるため、プロジェクト管理や移行・開発作業にあたって必要な情報量が膨大になる。生成AIを活用することで、移行・開発における作業負担の軽減と精度の向上に取り組むという。