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[市場動向]

東京大学、スパコンに量子コンピュータを2025年後半に接続、材料科学などの予測能力を向上

量子コンピュータでサンプリングした出力をスパコンで機械学習

2025年5月16日(金)日川 佳三(IT Leaders編集部)

東京大学は2025年5月16日、2025年後半に量子コンピュータをスーパーコンピュータに接続し、QCSC(量子中心型スーパーコンピュータ)を実現すると発表した。量子コンピュータでシミュレーション/サンプリングしたデータをスパコンで機械学習する仕組みを整えて、材料科学など各分野において予測能力を高める。

 東京大学は2025年5月16日、2025年後半に量子コンピュータをスーパーコンピュータに接続し、QCSC(Quantum-Centric Supercomputing:量子中心型スーパーコンピュータ)を実現すると発表した。量子コンピュータでシミュレーション/サンプリングしたデータをスパコンで機械学習する仕組みを整えて、材料科学など各分野において予測能力を高める。

 当該のスパコンは、東大柏キャンパス内に設置され、東大と筑波大学が共同運営する「最先端共同HPC基盤施設(JCAHPC)」のもの。「Miyabi」のシステム名で、2025年1月からAI学習などの用途に向けて稼働している。GPUとCPUを1モジュール化したGH200 Grace-Hopper Superchipベースの「Miyabi-G」とXeonベースの「Miyabi-C」の2つのサブシステムで構成する。

 量子コンピュータは、IBMのゲート型量子コンピュータ「IBM Quantum System One」をかわさき新産業創造センター(KBIC)に設置し、2021年7月から運用している。専有使用権を東京大学が有し、量子イノベーションイニシアティブ協議会(QII)に参加する企業や研究機関が利用する。

 IBM Quantum System Oneは、2023年11月に従来の27量子ビットの「IBM Quantum Falcon」プロセッサから127量子ビットの「IBM Quantum Eagle」プロセッサに更新している。2025年後半には、スパコンとの接続に合わせて156量子ビットの「IBM Quantum Heron」プロセッサに更新する(関連記事東京大学、127量子ビットの量子コンピュータ「IBM Quantum System One」が稼働)。

 KBICのIBM QuantumとJCAHPCのMiyabiによる量子コンピュータ/スパコンのハイブリッドシステムは、QIIの参加企業・研究機関が利用できる。同様のケースに、理化学研究所・富士通のスパコン「富岳」とIBM Quantumを接続した例がある。このケースでは、Fe4S4鉄硫黄クラスターの計算で古典計算の性能を上回ったという。

 「古典計算を実行する現在のスパコンを量子コンピュータで加速させるアプローチに注目が集まっている。スパコンだけでは達成しえない領域に持っていくのが量子コンピュータの役割と考えている」(東京大学と日本IBM、写真1

写真1:左から、東京大学 理事・副学長 相原博昭氏、東京大学 総長 藤井輝夫氏、日本IBM 代表取締役社長執行役員 山口明夫氏、日本IBM 取締役副社長執行役員 最高技術責任者 兼 研究開発担当 森本典繁氏、QII 会長/東京大学総長室アドバイザー 小柴満信氏
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