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宇都宮市、AIで政策をシミュレーション、2050年までのシナリオと重視施策を導出

2025年5月22日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)

栃木県宇都宮市は2025年5月22日、AIによるシミュレーションを政策の立案に役立てる研究を2024年4月~12月に実施したと発表した。日立システムズ、KPMGコンサルティングと共同で実施し、2050年時点の同市の姿について7種類のシナリオと、それぞれのシナリオに至るまでに重視すべき指標を導出している。

 栃木県宇都宮市は、AIによるシミュレーションを政策の立案に役立てる研究を、2024年4月から12月にかけて実施した。日立システムズ、KPMGコンサルティングと共同で実施し、2050年時点の宇都宮市の姿について7種類のシナリオと、それぞれのシナリオに至るまでに重視すべき指標を導出している。

 共同研究は、人口減少と高齢化が進行する中、持続可能な宇都宮市の実現に向けたシナリオを探索することを目的に、以下のテーマを設定した。

  1. ネットワーク型コンパクトシティを土台としたまちづくりの推進で、将来の宇都宮市がどのようなまちになるのか
  2. 目指すべきまちの実現のために、いつどのような取り組みに注力すべきか
表1:「第6次宇都宮市総合計画後期基本計画」などから抽出した358の指標(出典:宇都宮市、日立システムズ、KPMGコンサルティング)
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 宇都宮市の「第6次宇都宮市総合計画後期基本計画」や個別分野別計画における「交通」「子育て・教育」「健康・福祉」「安全・安心」などの政策の柱から358の指標(表1)を抽出。各指標の過去10年間のデータを分析用のデータとして用いた。

 市職員などで構成する3チームでのワークショップを実施し、それぞれの指標がどのように影響し合うのか、指標間の因果関係を定義した「因果連関モデル」を作成している(図1)。同モデルをAIで分析し約2万通りのAIシミュレーションを行った。

図1:市職員などで作成した、指標間の因果関係を定義した「因果連関モデル」
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 シミュレーションの結果、2050年における宇都宮市の姿について、7種類のシナリオと、2024年から2050年の間でそれぞれのシナリオに至るまでのターニングポイント、ターニングポイントを迎えるまでに重視すべき指標を導き出している。

 同市は、7種類のうち2050年時点の指標の状況が最も改善するシナリオを選択。最も改善するシナリオに至るには、2030、2031、2043、2044年の計4回のターニングポイントがあること、4回のターニングポイントを迎えるまでにどのような政策を重視すべきかを把握できたという。

 宇都宮市は、今回の共同研究の結果を参考にしながら、EBPM(エビデンスベーストポリシーメイキング:証拠に基づく政策立案)を推進する。

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