日立製作所は2025年9月16日、金融機関向けオンライン本人確認サービス「eKYC支援サービス」において、営業店に設置のiPadで本人確認書類のICチップを読み取れるようにした。同日、三菱UFJ銀行が店舗で運用を開始した。従来はiPadの内蔵カメラで券面を撮影する方法しかなかったのを改めた。
日立製作所の「eKYC支援サービス」は、金融機関向けのオンライン本人確認(eKYC)サービスである。スマートフォンアプリにeKYC機能を組み込むためのソフトウェア開発キット(SDK)とAPIを提供する。本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、在留カード)の読み取り手段として、ICチップ読取方式と券面撮影方式の両方に対応する。
写真1:三菱UFJ銀行の店舗において、iPadと外付けカードリーダーの組み合わせでICチップ読み取り型のeKYC(オンライン本人確認)サービスを利用するイメージ(出典:日立製作所、サイバートラスト)拡大画像表示
今回、ICカード読み取り機能を搭載していないiPadでも、Bluetooth接続した外付けカードリーダー(キヤノンマーケティングジャパンの「個人認証カードリーダーID-MY2」)を用いてICチップを読み取れるようにした(写真1)。このための機能拡張には、サイバートラストの「iTrust 本人確認サービス eKYC ライブラリ」を利用している(関連記事:サイバートラスト、WindowsアプリからマイナンバーカードのICチップ情報を読み出し可能に)。
三菱UFJ銀行は、2021年からネット契約や口座開設を対象にeKYC支援サービスを運用している。今回の機能拡張に伴い、同行の店舗においても、iPadを用いた非対面のeKYCを行えるようにした(関連記事:三菱UFJ銀行、オンライン本人確認業務に日立の「eKYC支援サービス」を採用)。
日立によると、現在、金融機関においては、オンライン本人確認の手段として顔写真付きの本人確認書類と利用者の顔写真を撮影して照合する「ホ方式」が普及している。本人確認端末として、利用者自身のスマートフォンのほか、店舗設置のiPadが使われているという。
2027年4月以降は、法改正で本人確認書類のICチップを読み取って確認する『ヘ方式』や『ワ方式』が義務づけられ、この状況が変わるという。「iPadにはICチップを読み取る機能が搭載されていないため、法改正後はeKYCを実施できず、窓口サービスに影響が出るおそれがある」(日立)。この問題を解決するために、今回、eKYC支援サービスの機能拡張を行った。

































